よろず評論サークル「みちみち」

●俺の女装がこんなに可愛いわけがない 女装男子研究本2(全文無料公開)

『俺の女装がこんなに可愛いわけがない 〜女装男子研究本2〜』表紙

下記の文章は、2010年12月31日、コミックマーケット79で発表した『俺の女装がこんなに可愛いわけがない 女装男子研究本2』の全文です。(図解、挿絵除く)
図解、挿絵の入った完全版の冊子を希望される方は、ぜひ COMIC ZINによる委託販売 をご利用ください。
COMIC ZIN −漫画人のためのコミック・同人誌プロフェッショナルショップ COMIC ZIN のWEBサイト−

■はじめに

 みなさんこんにちは、HENTAI紳士のみちろうです。この度は「俺の女装がこんなに可愛いわけがない 〜女装男子研究本2〜」を手に取って頂き誠にありがとうございます。自分自身まさか続編なんか出ないだろうと思っていた女装研究本の第二弾になります。

 今回の本は前回の『誰 も 引 い て は な ら ぬ 〜女装男子研究本〜』を前編と位置付けたときにその後編となるように書いたものです。この度の女装コスプレをある種の"研究"と見立てたとき、前回の本では「基礎理論を踏まえ、仮説を立て、仮説を証明する実験手順を作る」ところまでだとすると、今回の本では「実験結果の報告、考察と導き出せる結論、今後の展望」という内容になります。
 本来ならば前作だけで「このネタは終了!」と完結させるつもりだったのですが、奇しくも講談社さまからの依頼があり、『げんしけん二代目』でこの本が参考文献として間接的に商業誌に関わることになりました。
 『男の娘』ブームも留まるところを知らず、ゲームやアニメの中だけでなく現実に実践する動きが出始め、さらには海外にまで日本発のサブカルチャーとして広まりつつあるようです。もうちょっとだけこの宴が続くのならば、前作に書き切れなかったことや夏コミ後の顛末を記した完結編を書けるのではないかと思い至り、急遽予定にないこのテーマで筆を執ることにしました。

 普段の『カメラ小僧の裏話』シリーズのようなコッテリした評論ではなく、正月に寝っ転がってゲラゲラ笑えるものになるよう腐心しました。最初から心は腐ってますけどね。楽しんで頂ければ幸いです。

2010年12月31日 コミックマーケット79にて
みちろう

■目次

はじめに
目次
夏コミ本番!──鮮烈な「男の娘」デビュー
みちろう的女装コスプレの基本プロセス
女装コスプレにかかったお金
女装男子からファンレターが届きました
女装コスプレ後の影響
メイクの可能性と限界
コスプレするキャラの演出と女性らしいしぐさについて
講談社から連絡が来てげんしけんに載りました
「こんな可愛い子が女の子のはずがない」が意味するもの
おわりに
改訂版に当たって
訂正とお詫び
参考文献
奥付

■夏コミ本番!──鮮烈な「男の娘」デビュー

 今年の夏、筆者ことみちろうは生まれて初めて女装をした。後先のことを何も考えずに人前に出てパフォーマンスをしたのだ。まずはこの夏コミ(C78)での報告をしようと思う。
 前回の本では「夏コミのサークル参加で女装コスプレしてみんなを驚かせよう」という主旨で女装する為の調べものや準備を進めていたことを書いた。夏コミで新刊として女装研究本を出す以上、その本に当日の状況を記すことは不可能である。実際女装コスプレが成功したのか失敗したのかまでを記さねば研究とは言えないだろう。というワケでサークル参加当日を含む前後の流れを以下にレポートしたいと思う。いや、マジで予想外の展開だった(汗。
□コミケ前日!──修羅場すぎて女装の準備が全然出来ていないorz
 女装に興味がない人にはウルトラどうでもいい話だが(汗、女装コスプレには脱毛も含めて事前準備が3日程掛かる。理想を言えばコミケの数日前から脱毛は先に済ませておくのが望ましい。一発ネタとしてサークルの訪問者に多大なインパクトを与えるためにも、御披露目の瞬間は最高の状態にしておきたい。だが実際のところは全然それどころではなかった。
 オフセット誌ならともかく、コピー誌はコミケ直前まで修羅場なのである。連日手作業の製本に追われ、とてもバスルームで悠長に脱毛しているヒマは無かった(汗。サークル参加は今回で3回目だったが、毎回新刊やペーパーが仕上がるのが前日か当日朝という体たらく(汗。
 結局のところヒゲもムダ毛もボーボーに生えたまま、目にクマを作りながら夜明けを迎えてしまった。本にはあれこれノウハウを書いて置きながら脱毛は未完了、肌もカサカサ、加えて思いっ切り寝不足。ハッキリ言ってコンディションは最悪である。新刊を段ボールに梱包し終わったあと、ああ、これから女になるための準備しなきゃなーと頭を掻きつつ、そもそもサークル参加とコスプレ参加の両立はかなり無理があると今更ながら思い至ったのだった。
□1日目と2日目──コミケそっちのけで女装準備
 今回のコミケは当然ながら、3日目のサークル参加での女装コスプレを成功させることが最重要ミッションである。必然的に1日目と2日目の一般参加は多少行動を妥協せざるを得なかった。
 とにかく脱毛が手付かずである。大急ぎでムダ毛処理をしなければならない。1日目は遅い朝食をとって、バスルームでひたすらブチブチ脱毛(汗。ソイエ(電動脱毛器)のバッテリーの都合上一度に全部は出来ないので、朝晩2回×2日間かけて脱毛することとなった。
 1日目は午後から挨拶回りだけのつもりで会場に向かったのだが、やはり過激なダイエットをしたせいか8ヶ月振りに会う友人からは「ちょ…!なんでこんなに痩せてんの!?」という驚きの声を頂戴する(汗。「顔の形が変わった」とも。はて、そうなのかしらん? しかし改めて考えてみれば前回の冬コミ時に体重71kgだったところを一挙に60kgまで落としたのである。71kg→60kgはやはり見た目がかなり変わっているのかもしれない。だがそもそも3日目に驚かすつもりだったので「女装するから体重を落としたのサ」と言うワケにはいかず喜びつつも曖昧に頷いていたら、「…何か苦労があったの?」と逆に心配されてしまった(汗。ああいや、違うんだ。「オレ女装するんだ」って言ったら更に心配されそうだけど。

 次の日も8月に入ってから通算2回目の十分な睡眠を摂り、午前中はやはり脱毛。2日目はソイエの他に毛抜きでの脱毛も時間をかけて行う。ああ、魔理沙になるために東方ジャンルの日を諦めなければならないなんて(涙。
 どうせ買い物は諦めるのならと、ここでメイクの最終確認も行った。普段から女装に慣れているならば問題ないが、初めてである今回はきっとメイクであたふたしてしまうだろう。特に今回はサークルスペースの準備とコスプレの準備を短い時間で済ませなければならない。修羅場のお陰で8月に入ってから一度も練習をしておらず、手順を忘れてるかもしれない。現地でのシミュレーションも兼ねて、机の上ではなく床に道具を広げて最終チェックを行う。仕上げにケータイでパチリ。
□3日目朝、キュンキュンヽ(゚∀゚)人(゚∀゚)ノキュルルン→時間ねぇー!(ノ`Д´)ノ
 いよいよ本番当日3日目である。なんとかこの日までに脱毛と剃毛を完了し、ようやくツルツルの両手両脚となった。ふふふ、これよこれ(恍惚。会場に向かう電車の中でもう一度ツメをピカピカに磨いておく。正直この日は朝からかなり緊張していたが、一方でかなり気分が高揚していた。何せ初めて女装して人前に出るのだ。言葉に形容しがたいキュンキュンした気持ちが収まらなかったのである(イミフ。
 朝7時前頃に会場に到着し、友人(いつも売り子を手伝ってくれる「庶務部長」というニックネームの彼である)と合流してサークル入場。8時までにサークルスペース設営を済ませ、自分は単身男子更衣室へ。サークル参加者しかいない時間帯の更衣室はまだ比較的空いているようだった。正直な話、男性がコスプレに着替えている空間はもっとカオスな様相を想像していたのだが、半分くらいがいそいそと着替えをし、半分くらいは落ち着いて丁寧にメイクを行っていた。荷物からボサボサに崩れたウィッグを取りだし「あちゃー…」という人がいれば、隣から「良かったらお使い下さい」とスプレーとブラシが提供されるなど、見知らぬ人同士ながら同志という奇妙な連帯感。もちろん10時を過ぎればどっと人がやってきてバタバタし出すのかもしれないが。
 下着、衣装と半分まで着替え、カーペットに座ってメイク道具を広げる。この時点で既に8時10分くらい。時間はかなりタイト…というか、ここで初めて判断ミスに気付いた(汗。メイクに1時間、着替えに15〜20分、脳内で時間を計算し「…あ。」と思い至る。そう、準備が完了する9時30分頃は全館閉鎖が実施され移動出来なくなってしまう。しくった(汗。開場前にサークルスペースに戻れないじゃん! 留守番している部長にスマンメールを送り、仕方がないのでたっぷり時間をかけてメイクを行った。
 更衣室出口のコスプレ相談所ではホウキが無いことを確認されたくらいでokが出る。出口付近の阿部さんコスのスタッフさんからは「ああ魔理沙可愛いよ魔理沙(*´д`*)ハァハァ」という声を頂戴した(汗。もう気分は女なのでそう言われると正直嬉しい。裾を持ち膝を曲げて「ありがとうございます♪」とお礼を言ってみる。
 10時を過ぎてからスペース到着。開場時の売り子をしてくれていた友人(庶務部長)は、初めて見た自分の友人の女装姿に若干引きつつも交代で買い物に出発。我ながら本当に良い友人を持ったと思う(汗。ありがとう。
□魔理沙に扮して頒布開始。女性に大好評w 男性はザ・ワールド!時は止まる…。
 いよいよ女装コスプレ姿で頒布開始である。生まれて初めて人前で女装、かつコスプレをしたが、不思議と恥ずかしいという気持ちは少ない。やれるだけのことは全部やった。自分でもちょっとは女性に見えると思えることが自信に繋がっているのかもしれない。
 加えて女装姿を見せているのがリアルな知人ではないことも大きい。コミケという会場、コスプレが許容される空間、ネタとして成立する状況で、匿名的に堂々と好きなことをやっている自分を見てもらえるのが素直に嬉しいのだと思う。自己表現を多くの人に見てもらいたいけど知人には絶対見られたくない──我ながら実に歪んだ自己顕示欲である(汗。

 さて、予想はしていたがかなり蒸し暑いコンディションだ。直射日光こそないものの、汗でウィッグが頬に張り付いてくる。扇子で煽ぐとさらにウィッグが舞ってまとわりつく。くっそう、水分補給もリップが取れないように気を使わなければならない。ストローは用意しておいたもののやはりペットボトルとストローは実に相性が悪い。15分くらい置きにハンドミラーでメイク崩れを確認しながら、半分ヤケで販促トークをしていた。そんななか

「すみません、ここの配置は何番ですか?」
「ここはO16bですよ」
「あっ………男の方ですか!?(驚。」

という一般参加者とのやりとりもあった。いやあ我ながら女性に間違われてこんなに嬉しくなるとは(汗。
 当サークルではデカデカと女装研究本のポスターを掲示していたこともあり、なかには女装の方が買いに来て、何人かとはいろいろお話をさせて頂いた。意外だったのは女装男子の集まる活動やコミュニティが結構存在するということだ。男の娘カフェのような形態の他に、普通に趣味の女装男子がオフ会をするようなサークルも存在するらしい。筆者は独自に一から情報を集めたが、最初からこのような場所に参加すればスムーズだったかも知れない。
 またこちらも油断していたが、中には素で女性に見えた方もいた。話しかけられてしばらくしてから相手が女性ではなく女装だと気付いたのである(汗。この分だとすれ違っただけでは完全に女性と思い込んでしまうだろう。なんだか負けた気になってしまうのが複雑だった。

 お昼過ぎから続々友人と会った。「女装を見に来ましたよ。今日はこれだけの為に来ました」とおっしゃって下さる方もいれば、「なんか面白い格好をしてるって聞いたけど…女装かよ!」と苦笑する方も(汗。総じて筆者を知る男性からはリアクションに困るという反応(汗。
 一方女性の友人からは大爆笑&大喜びだった。まずは当サークルの表紙イラストを描いて下さった高崎かりんさんのサークルへ女装コスプレ姿で遊びに行った。笑いを堪えながら列に並び、対面してすかさず「お久しぶりです」とご挨拶。予想通りハテナマークの反応だったので「みちろうです」と種明かし。一瞬の間を置き、「ええーーっ!!」と驚愕の顔に変わる。何度も「チョー綺麗!可愛い!」と絶賛された(汗。「今度一緒にコスプレしようよ!アイマス合わせしよう!」とも(大汗。いやあ驚かす魂胆だったとはいえあそこまで大喜びされるとは(嬉。
 他にも休憩中に知り合いサークルへのご挨拶に回ったが、どこも一瞬自分だと気が付いてもらえず、次に爆笑という反応だった。大学の友人は「何やってんすかwww」とだけ言った後、ツボに入ってしばらく笑いが収まらず呼吸困難になってしまった。美しさって罪なのね。
□ついにこの瞬間が来た──女装して男子トイレに入る!
 今年の夏コミはとにかく猛暑だった。挨拶回りの東西往復で直射日光を浴びたこともあり、汗だく状態になっていた。サークルに顔を出してくれた友人から「大丈夫?」と声を掛けられても「暑くて…暑くて…(それ以上言葉が出てこない)」という感じである(汗。マスカラが溶けてきたので、メイク直しに一時男子トイレに入ることにした。
 ……ついにこの格好で男子トイレに入る時が来たか。そもそも自分が女装コスプレしようと思い至ったのは、去年この同じ男子トイレで女性に見間違えるほどの美しい魔理沙の男性コスプレイヤーに出会ったことが発端である。個室で手早くマスカラを処理しながら、まさか一年後自分がその魔理沙になって男子トイレに帰ってくるとは…と感慨に浸った。
 去年の魔理沙は「いやー、このカッコで立ちションはまずいぜー」と語って笑いを誘っていたが、今だからこそ分かる。この格好で立ちションは不可能だ。スカートをたくし上げるという破廉恥なポーズになるだけでなく、ストッキングを下ろすためにコルセットを緩めなければならず、そのためにはブラウスやベストも半脱ぎにならなければならない。コスプレ衣装の構造上立ちション出来るようにはなっていないのである(汗。言って置くけど自分で自分の半脱ぎ姿がエロく見えるんだぜ。しかもキノコが見える(汗。み●くらなんこつの「フタナリナイト」──って、やかましいわ!

 14時過ぎに新刊が全て完売。本来の新刊が出せなかったとはいえ、まさかこんなに女装本が売れるとは…コミケって怖いわー(お前が言うな。更衣室のラッシュを避けるため、15時前に男子更衣室に戻る。15時を回る頃には入場口で列形成が行われていたので、この判断は正解だった。武装解除ならぬ女装解除をしてスペースに戻る。売り子を手伝ってくれた友人は男に戻った自分を見て何故か安堵の表情だった。なんのかんので長い一日が終了。
 最初はドン引きされて友達が減るかと覚悟していたが(汗、女装コスプレのパフォーマンスは概ね好評だったと思う。驚かすのが成功したという満足感と、初めてのコスプレが純粋に面白かったという満足感を持ち帰ることになった。いや、ホントに楽しかった。よかった。

■みちろう的女装コスプレの基本プロセス

 今回の研究成果として、女装コスプレをするに当たっていろいろ調べ上げ、試行錯誤した結果作り出した個人的な女装の手順を紹介したい。前回の本では基本的な理論や事前準備の話を書いていったが、ここでは備忘録の意味も含めて夏コミで行った具体的なプロセスを記していくことにする。
□女装コスプレ持ち物リスト
 今回霧雨魔理沙として女装コスプレするために会場に持ち込んだものは以下の通りである。

■霧雨魔理沙衣装
ブラウス
ドロワーズ
パニエ
スカート
エプロン
ベスト
とんがり帽子
リボン

■下着類
シリコンヒップパッドショーツ
ストッキング
ヌーブラ
フルカップブラジャー
シルキードライTシャツ
ミニコルセット
汗ワキパッド

■ウィッグ関連
ウィッグ(ロングカール)
バンス(三つ編み)
ウィッグネット
ウィッグミスト
ウィッグブラシ
安全ピン
ヘアピン

■ソックス・靴
カメオ付きフリルソックス
ローファー

■コンタクトレンズ
カラーコンタクトレンズ
コンタクトレンズ(予備)
コンタクトケア用品

■化粧品
化粧ポーチ
アクアレーベルホワイトアップローションしっとりタイプ(化粧水)
アクアレーベルホワイトアップエマルジョンしっとりタイプ(乳液)
HAKUメラノフォーカスEX(美容液)
コットン
綿棒
ビオレパーフェクトオイル
ビオレメイク落としシート
メイクケアシート
あぶら取り紙

■その他
クリスタルネイル(ツメ磨き)
ガラス製ツメ磨き
ピンセット
ハンドミラー
太いストロー

このアイテム数が多いか少ないかは他の女装男子やコスプレイヤーによって感じ方が違うのではないだろうか。なお練習する余裕がなかったためマニキュアやアイラッシュ(付けまつ毛)に関しては今回見送った。
 上記は現地で女装コスプレをする為の道具類であり、この他今回の活動の為に準備したものとして電動脱毛器(ソイエ)、毛穴吸引器(スポットクリア)、ダイエットエクササイズ用フラフープ(フープノティカ)などがある。ちなみにコミケでなければ魔理沙アイテムとして竹ボウキも用意したいところだが、そこはルールに則ることにする。
□さぁ、女装しよう!──完成するのは3日後です
 次に女装コスプレ(霧雨魔理沙)の手順を紹介しよう。以下に準備開始から女装完成までの流れを紹介する。一応断っておくが以下の手順はマニュアルではなく個人的なノウハウである。正解は人それぞれなので本気にしないように(汗。

①脱毛できる長さ(2〜3mm)になるまでまずは腕、脇、脚のムダ毛を伸ばす(数日放置)。この時点で軽石を使って皮下に埋まったムダ毛は毛先を表に出しておく。軽石は本当に軽ぅ〜く軽ぅ〜く皮膚に当てる。でないと赤く腫れてしまう。またどのタイミングでも構わないのでツメはクリスタルネイル(スポンジヤスリ)でトゥルントゥルンに光沢が出るまで磨いておく。

②脱毛1回目。入浴中に電動脱毛器を使って両脚を大まかにバッテリーが切れるまで行う。所要時間2時間(充電時間は別途2時間)。

③脱毛2回目。入浴中に電動脱毛器を使って脇、両腕を大まかにバッテリーが切れるまで行う。所要時間2時間(充電時間は別途2時間)。

④脱毛3回目。入浴中に電動脱毛器を使って、②〜③での抜き残しを念頭に全身を満遍なく行う。所要時間2時間。

⑤脱毛4回目。肘や膝、手首指先など電動脱毛器で抜けない凸凹した部分を、毛抜き用ピンセットで抜いていく。この他太ももの裏、脇の外側など抜き残しがあればそれも処理する。近眼の筆者はバスルームで確認するのは大変なので入浴後に行う。所要時間2時間。

⑥脱毛5回目。毛抜きでヒゲを丁寧に抜き、眉を整える。ヒゲ脱毛は1mm程度伸びていれば可能だが、1mm未満の長さのものは伸びてくるまで待つしかないので、2日間に分ける必要がある。所要時間2時間。

⑦剃毛1回目。入浴中に全身のうぶ毛を処理。カミソリは本当に軽ぅ〜く軽ぅ〜く皮膚に当てる。入浴後はスキンミルクを使うとカサカサしない。

⑧剃毛2回目。⑦と同時でも構わない。丁寧に洗顔し、毛穴吸引器で毛穴の汚れをきれいにした後、顔剃りをする。カミソリは本当に軽(ry 所要時間は⑦〜⑧合計で1時間。

⑨下着類を装着する。ヒップパッドショーツとストッキングを穿く。ヌーブラを胸に貼り、その上にフルカップブラを取り付ける。透け防止用のシルキードライTシャツを着て、その上からミニコルセットでウエストにくびれを作って固定する。

⑩先にメイクをすると着替えるときにブラウスやベストをファンデーションで汚してしまうので、まずはコスプレ衣装を装着する。スカート、エプロン、パニエはかさ張るので後回し。この段階ではブラウス、ドロワーズ、ベストのみ。前髪が邪魔になるのでウィッグネットも被っておく。

⑪手を洗ってカラーコンタクトを装着する。

⑫メイクに取りかかる。今回の場合はフルメイク。全手順を書くと長くなるので省略。

⑬コスプレ衣装の残りを装着する。スカート、エプロン、パニエ、フリルソックス、ローファー。

⑭ウィッグを被る。被る前にバンス(三つ編み)を安全ピンでウィッグに固定しておく。被ったら前髪がばらけないようにヘアピンで固定する。

⑮最後にとんがり帽子を被って霧雨魔理沙の完成だぜ☆

 この手順から分かる通り、女装コスプレは「やろう」と思い立ってから完成するまでの間に膨大な作業と時間を要する。しかも累計12時間以上掛かるため1日では完成しない。1日目に②、2日目に③を行い、3日目に④⑤⑥の脱毛フェーズを一気に片付ける。そして女装日の4日目に下準備としてバスルームで⑦⑧の剃毛フェーズを経てから、ようやく⑨〜⑮の着替えとメイクのフェーズに入ることが出来る。⑨〜⑮はメイクプロセスに1時間、着替えプロセスに15〜20分掛かる。
 基本的に所要時間の大半はムダ毛処理である。電動脱毛器で大幅に時間短縮できるとはいえ、抜いても抜いても悲しくなるくらい毎日生えてくる(涙。永久脱毛すれば手間は省けるが、一時の遊びにそれほど大金を掛けてもいられないので仕方がない。いくら衣装を揃えても、いくらメイクの腕を上げても、女装は脱毛に始まり脱毛に終わるのである。というのが今回の活動で至った結論だった。
 でも女装の楽しさに目覚めてしまって、日々ムダ毛との戦いを続けていたらどこかのタイミングで永久脱毛をしたくなってしまうんだろうなぁ。いやいや、まさか自分が、…はっ!

■女装コスプレにかかったお金

□女装コスプレ活動費用は240,228円の支出
 楽しかった夏コミでの顛末や研究成果の報告が終わったところで現実にも目を向けてみよう。今回のコスプレ活動は一発勝負であり今回限りと割り切っていたので、多少の支出は目を瞑ったつもりである。むしろケチって大失敗したときの方がリスクが高い(汗。リスクヘッジが出来るなら安いものだということで最初から金に糸目は付けなかった。実際にいくらかかったのか領収書類を整理してみると以下の通りであった。

衣装・ウィッグ・靴  63,534円
クリーニング      7,720円
下着類        45,120円
脱毛・ダイエット   27,585円
女装サロンメイク講習 45,100円
化粧品        51,347円
その他          630円
──────────────────
合計         240,228円

※取材費・資料購入費・事務手数料等は別
※第1版では一部集計漏れがありました。第2版以降は、修正して5,680円増えた合計金額となっています。

 この表の通り、直接的なコスプレ活動としての支出は約24万円である。
 具体的な内訳は魔理沙の衣装に約20,000円、ウィッグ約6,000円×3個(この他にブラシやスプレー類)、ローファーやブーツに約10,000円。下着類のうちヌーブラが約10,000円、ミニコルセットに約20,000円、ブラジャーは試しに3種類ほど購入。ヒップパッドショーツに4,000円、ソックスに至っては10足以上試行錯誤した。
 ソイエ(電動脱毛機)12,000円、スポットクリア(毛穴吸引機)6,000円、ダイエット用フラフープ(フープノティカ)9,800円。メイク講習の45,100円は基礎編と応用編の2回分。化粧品のうち半分以上は日々の化粧水と乳液(アクアレーベルホワイトアップ)と美白美容液(HAKUメラノフォーカスEX)の金額である。
 またこの234,548円の他に女装ハウツー本やメイク教本などの資料購入費、男性コスプレイヤーのメイクやコーディネート観察のためコスプレイベントへの調査取材など、サークルの活動経費として処理している間接的なものも含めると約40万円くらいとなる。うーむ、ネタで女の格好するのに40万注ぎ込んだのか俺は(汗。冷静になって考えてみるとこの金額は正気の沙汰とは思えない(大汗。
 だが後悔はしていない。お金を注ぎ込む覚悟が出来ていたからこそ夏コミはあれだけ上手くいったのだと思えば実にいい買い物をしたと自負している(ぉ。それにダイエットに成功したし、肌はキレイになったし、可愛いって言ってもらえたし、大好きな魔理沙になれたし。我が人生に一片の悔い無し!!もうやらないけど。たぶん。
□1回の女装コスプレに掛かるコストは10,000〜15,000円
 次にランニングコストを見てみよう。1回あたりに掛かる費用である。コスプレ衣装自体は何度でも繰り返し着られるが、実際は様々な支出が伴う。
 まずはクリーニング代だ。今年の夏は特に猛暑だったので衣装を着る度に汗だくになった。それに襟回りはファンデーションの跡も付着してしまう。自分で洗える下着はともかくコスプレ衣装のような非常にデリケートなものはクリーニングに出さなければならない。魔理沙の衣装はブラウス、ベスト、スカート、エプロン、ドロワーズ、パニエ、とんがり帽子と各パーツに分かれる上に自然乾燥オプションが付く為、全部を出すと5000円程の出費になる。
 またカラーコンタクトは消耗品であり、毎回用意しなければならない。毎日のように魔理沙コスプレして過ごすワケではないので、ビッグアイの「2週間用」という部分はあまり意味を成さなかった(汗。度ありのヘーゼルカラーで1セット2100円である。
 ウィッグに関してはボサボサなまま使い続ける無頓着な男性コスプレイヤーもいるようだが、基本的に消耗品でありボサボサになれば買い替えなければならない。ストレートの髪形であれば洗ってメンテナンスすることも出来るが、魔理沙の場合ロングカールであり、カールした髪の束がバラバラになればソバージュのようになってしまう。洗ってもう一度パーマを掛ける必要があるのだが、自分の場合は面倒なので本番用に複数購入することにした。ウィッグであれ地毛であれ、基本的に長い髪は手入れが大変なのである。
 最後にコスプレ衣装の減価償却費だ。衣装も高い割には丈夫ではない。魔理沙の衣装もスカートのホックがほつれて自分で裁縫したりもしたが、基本的に女性の洋服と同じで1シーズン着たらそこで終了と割り切るべきだろう。ヨレヨレの服を着続けるのは女装の美学に反するのである。20,000円の衣装も5〜6回分で終わりと考えれば、1回着る度の償却費は大体4,000円となる。
 トータルすると1回女装する度に諭吉が一人、また一人と帰らぬ人となってしまう。女装は本当にお金のかかる趣味なのだ。これを女性は日常でやってるんだからスゴイよなぁ…。

■女装男子からファンレターが届きました

□「普通そこまでしないよ!」という反応がきた(汗。
 夏コミで女装男子研究本を頒布したところ、実にたくさんのファンレター(メール)を頂いた。本来の『カメラ小僧の裏話』シリーズのときよりも反響が大きいのは少し複雑ではあるが(汗、こうして感想が頂けるのは作者冥利に尽きるところである。さて、ここではその頂戴したメールのなかにあった意見について紹介し、作者として思うところを述べてみたい。

 まず筆者は今回一発ネタとして女装に挑戦したある意味素人である。なので女装男子の方から「貴本を拝読して、最近忘れていた女装娘としての初心を思い出すことができました。」というファンレターを頂いたときは非常に畏まってしまった(汗。すみません、そんなスゴイことしたワケじゃないです。ただ純粋に魔理沙になりたかっただけなんです(汗。
 独自に女装コスプレについて調べ、自分で試したり突撃したりしたせいか、どうやら通常の女装コスプレの入門法とは相当違うアプローチだったらしい(汗。ファンレターが届いたのだが、女装をされる方からは美容部員と馴染になるくだりについて感心されたり、男性コスプレイヤーの方からは女装サロンでメイクを学べることを知りませんでしたという話もあった。
 やはり女装男子や女性キャラのコスプレをする男性レイヤーにとって、メイクは学習に苦労する部分なのだろう。女装に理解ある彼女(というか彼氏を女装させたがる彼女)がいれば彼女からレクチャーしてもらうことも出来るが、大抵は女性向けのメイク教本を参考にするようである。
 なお前作には書かなかったが、ブラジャーの拡張ホックやヒップパッドショーツなどの補整下着が新宿コスメイト等の女装専門ショップに売っていることを当初知らなかったので、最初は堂々と小田急百貨店の婦人下着売り場で買った。試着こそしなかったが女性店員に「コスプレするので補整下着を下さい」と声を掛けたのは今思えば勇者を通り越して無謀だったと思う(滝汗。というワケで手元には「婦人ショーツ」の但し書きが入った小田急百貨店のレシートがある。男性コスプレイヤーって大変だなーとか思っていたが、どうやらそんな人間は筆者一人だったらしいorz
□女装趣味は意外とすそ野が広がっている
 また女装サークルを主宰しているという方からサロンへのお誘いを受けた。ビジネスとしての女装サロンではなく趣味の集まりの活動らしい。色々お話をお聞きしたが、女装男子同士で交流したり女装して外を散策したりするそうだ。
 このようなコミュニティはよくオカマサークルと誤解されがちだが、女性キャラや女性私服に扮する男性コスプレイヤーの集まりと言った方が正しいかもしれない。中身は普通に異性愛者な男性である。女性の恋人がいる人もおり、女装して彼女とデートをするような人もいるそうだ。普段から女装して過ごしている異性愛者な女装男子は筆者が当初想像していた以上にたくさん存在しているようである。

 頂いたファンレターの中に「女装をファッションと捉えた場合、コミケに女装で入退場するのは有りや無しや?」というお話もあった。お返事では性同一性障害とMTFの問題があるので是認させるのでは、ということを書かせて頂いたが、実際のところファッションとして女装してコミケに来ている人が存在している。当サークルに来て下さった私服の女装男子の方もいれば、漫画家いがらしゆみこ氏の息子であり男の娘であるいがらし奈波さんは女装姿で男子更衣室に入ろうとしてスタッフに止められたとの話もある(汗。今のところはさほど大きな問題ではないのかもしれない。
 もちろん女装がもっとメジャーな趣味となって広がれば、確率論的に女子トイレや女子更衣室に闖入する犯罪者が出てくることが考えられる。いずれは何らかのルールが作られるかもしれない。変態はやはり紳士でなければならないだろう。

(いがらし奈波著コミックエッセイ『わが輩は「男の娘」である!』より。内容も然る事ながら、表紙帯の『こんな立派な「男の娘」になってくれて……母は嬉しいです!(実母・いがらしゆみこ)』のコピーは凄まじい。)

■女装コスプレ後の影響

 一時的にとはいえ女性の視点に立って美容やメイクを勉強し、コスプレイヤーとして被写体の立場になったことで様々な発見や影響があった。第1部の結びとしてここでは女装コスプレ後にどのような心境や生活の変化があったかを報告しよう。
□サイズを表す数字に敏感になった
 まず一番最初の変化がこれ。女性サイズの下着やコスプレ衣装を調達するに当たって、生まれて初めて自分のスリーサイズを測った。それまでは自分のウエストサイズすら把握していなかったのである。洋服を買うときはなんとなくMかLくらい。ボトムは適当に試着して丁度良さそうなものを買う(ウエストサイズが何cmだったかは記憶しない)という無頓着であった。お陰で女装しようと決意して一番最初に測ったウエストが80cmという絶望的な数字でも何も危機感を感じなかったのである(ぉ。
 その後ダイエットをしながら女性衣服のS〜XLサイズとそのスリーサイズを眺めているうちに、次第に身長・体重・スリーサイズの体型感覚が身に付いていった。よくグラビアアイドルなどのプロフィールにスリーサイズが載っているが、(公称にしても)如何にウエスト59cmが細いかを改めて知るところとなったのである(汗。
 またクリーニング屋の某氏によれば多くの高校制服のスカートはウエスト65〜68cm前後との暴露話があるので(汗、一般的な10代後半の女性のウエストはそのあたりが平均だと考えられる。実のところウェストがアンダー60cmの女性はそうそういないのだ。一方で文部科学省の平成22年度学校保健統計調査では15〜17歳の女子の平均身長は157〜158cm台、平均体重は51〜52kg台ということから、身長158〜160cm、体重50〜52kg、ウエスト65〜68cmが女性の標準的な数字だと言える。
 身長150〜155cmのロリ体型ならともかく、160cmの女性が体重40kg台&ウエストアンダー60cmになるというのはかなり無茶をしないと作り出せない数値だといえる。たぶん。女性じゃないから確証はないけど。
 この感覚が身に付いたお陰でスリーサイズの数字から身体のシルエットをイメージ出来るようになった。ああ、ウエスト80cmが如何にメタボだったのか今ならよくわかる(汗。
□女性ファッションを意識というか妄想するようになった
 ブーツやフリルソックスなど、コスプレをする上での衣装以外のパーツを探したりしているうちに女性誌をあれこれ買い込んで読みあさったり、ブティックや百貨店に足を運んで婦人服売り場を散策するようになった。レディースファッションは基本的に未知の世界であり、どのような種類があるか、どのようなコーディネートがあるかは自分で調べて歩いてみないと感覚がつかめない。「肩幅を隠すにはジレで縦のラインを強調するのが有効よ」と言われても「……ジレって何?」というレベルである(汗。XラインAラインHラインという単語も、意味を理解するまで時間が掛かった。
 だがファッションに関してはまったくの素人であるがゆえに、新しい世界をイチから勉強するのは新鮮であった。またトップとボトムの2種類しかないメンズファッションとは異なり、スカート、パンツ、ワンピースなど様々な洋服のバリエーションがあり、さらにギャル、フェミニン、クール、カジュアルなど「見せたい自分」によってコーディネートががらっと変わってくる。買うわけではないけれど、いろいろなスカートやブーツ、ワンピースなどを見てるだけで楽しい。
 特にはっとさせられたのは、女性の場合「見せたい自分」をプロデュースするためには洋服だけでなくバッグやブーツ、髪形、メイク、しぐさに至るまで全部に意識を持たせることだ。当たり前といえば当たり前なんだろうけど、男性はファッションというと洋服だけしか考えない人が多い。レディースファッションではバッグと靴の色や質感も洋服に合わせて揃えなければならない。コーディネートごとに複数のバッグが必要になるのである。可愛く見せるために時には利便性だって犠牲にしなければならない。「ANNA SUIになる理由は何があるんでしょうか?DUNLOPじゃダメなんでしょうか?」などと言ってられないのである。

 勇気を出してブティックを散策したり女性誌を購読したりすると脳内で普段と違う部分の刺激を受けることもあり、コスプレ抜きに普通にレディースファッションを眺めるようになった。もう男性の視点だか女性の視点だか自分でもよくわからないのだが、あのワンピースはフリルがカワイイ、このブーツはフォームがエロい、このドレスはフェティシズムをちっとも分かってない、などと思いながら妄想するのだ。気分はすっかり霧雨魔理沙である。
 しかし魔理沙はそもそもファッションにあれこれ気を使ったりするのだろうか? 性格設定から想像するに格好には無頓着なキャラクターにも思える。魔理沙が女性誌を購読しているとしたらCanCamよりもnon-noだろうか、いやpsかsoupも有り得そうだ。兎角女性キャラのくせに女性臭がしないのである。魔理沙ってなんであんなに冷めてるんだろうな。もっと知りたいな魔理にゃんのこと。……キモくなってきたのでこの辺で。
□スキンケアを普段からするようになった
 化粧水活動、もといスキンケア。これもコスプレの影響で夏コミ後もやめられなくなった。当初コスプレ時のメイクは当日誰かにお願いするつもりだったのだが、今となってはその考えは根本的に誤りであったといえる。そもそもベースとなるすっぴんの顔がキレイでなければメイクしてもキレイにならんのである。ボロボロの顔でメイクアップアーティストにメイクをお願いしにいたらきっとぶっ飛ばされるであろう。
 詳しくは夏の本に書いたが、毎日朝晩洗顔&化粧水&美白美容液&乳液を使い続けたらニキビや肌荒れや毛穴がすぱっと消えた。これで味を占めてしまったワケである。
 だが夏コミ後は緊張が解けて一時的にだらけてしまった時期もある。特にWindows版Steins;Gateに没頭していた9月は夜遅くまでプレイして、「めんどくさいからこのまま寝ちゃえー」みたいなことを続けていたらすぐにニキビが出て肌が荒れてきた(汗。去年までの状態に戻るといえばそうなのだが、一度あの肌のハリを体験すると肌荒れを放置するのはいけない気がしてくる(汗。キレイな肌は一日にしてならずである。
 ちなみに普通は女性が使うであろう化粧品類の容器、なんとなくキレイなのでコレクションしてしまっている(ぉ。現在使い終わった空の容器が20個くらい。現時点で4万円分くらい。ウチに遊びに来た人間は大抵ビビる。
□メイク速度が少しずつ上がった(汗。
 もともとは夏コミの男子更衣室で手早くメイクができるようにメイク時は時間を計る習慣があったのだが、当初90分掛かっていたメイクが「失敗→修復」の回数が減ったお陰で45分程で完成するようになった。半年間の練習の賜物である。
 ただ腕が上がったのかといえば正直微妙なところである。基本的にコスプレに合わせたフルメイクのパターンを一種類出来るようになっただけであり、出来自体も特別上手いワケでなく、いたって平凡レベルだ。要するに対コミケ仕様のスキルである(汗。
 メイクについては次の章でまとめて書くが、基本的にメイクには十分に時間を掛けた方がいい。よくメイク教本などのQ&Aでは「時間を掛けないで出来るメイク術について教えて下さい」という質問に対して「寝坊の常習犯で『イイ女』なんて有り得ません。メイクする時間がないのなら30分早く起きなさい」という回答が載っている(汗。時間短縮出来るようになるくらいなら、同じ時間でさらに丁寧なラインを引くように心掛けた方がいいかもしれない。
□人を見たときに性別と「この人は女装が出来そうか」を判断する習慣が付いた
 そういえば人を見る目も変わった気がする。よく街中で自分の前を歩く人の後ろ姿を目にすることがあるだろう。後ろ姿を発見したとき、すぐに男性か女性か判断が付かない場合はないだろうか?
 前回の本にも書いた通り、女装を成功させる秘訣は「男性的特徴を隠し、女性的記号を身にまとう」ことである。街中を歩く男性がみな女装しているわけではないが、偶然にも男性と分かるような特徴がすっぽり隠れてしまっていることがある。むしろ肩幅が小さかったり、歩き方が華奢な印象だったりすると後ろ姿が女性に見えることもある。そういう男性を見かけると「あー、この人は女装すれば完璧に女性に見えるのにー」と考えて「この人がニコレッタメイド服を着たら…ゴクリ。」と勝手に脳内で強制女装プレイをしてみたりする。
 また服装のコーディネートで上手く男性的特徴が隠れている(あるいは錯覚で目立たない)場合は参考にさせてもらうこともある。後ろ姿で一番男性と分かりやすいのはとにかく肩幅なのだが、後ろ姿は視線が集中するようなアクセントが不足しがちなためどうしても肩幅が目立ってしまう。後ろ姿で女装を成功させるのは非常に難しいのだ。逆に言えば後ろ姿のどこかに肩よりも目を引く要素があれば、それで女性に見えてしまうこともある。そのコーディネートの引き出しを増やす為に「性別の判断が付かない男性の後ろ姿」は獲物なのである。

 まったく逆のパターンで、後ろ姿で男性か女性か判断が付かない女性もいる。こちらは…なんというか、「ちゃんとファッションに気を使えばキレイに見えるのに(汗。」と要らぬ心配をしてしまう。蛇足ながら私見を述べるとすれば、服装が直線的でシルエットが寸胴になっていることが多い。次にわざわざ肩幅が大きく見えるように強調した格好をしている。歩き方がガサツ。持ってるかばんがDUNLOP。まぁ悪いとは言わないけど。
 女性なのに女性と判断するのに時間が掛かるには何かしらの理油がある。何の女性要素が不足していたかチェックした上で、また同じように女装する上で参考になるようなポイントを探っていくのである。身も蓋もない言い方をすれば、中身の性別がどちらにせよ「女性に見える」ということは突き詰めれば「技術」なのである(汗。
 しかし、この人間観察癖は要するに「より高度な女装をする為に」というベクトルでの行動である。この活動を本格的に推し進めていくつもりはないのだが、無意識に情報収集してしまっているらしい(汗。

■メイクの可能性と限界

□男性だってメイクをすれば女性に見える?
 女装コスプレをするに当たって、当初一番不安だったのは「ちゃんとメイクで可愛い女性に見えるようになるのか?」ということだった。メイクは未知の領域であり、自分がメイクをすることによってどこまで変わることが出来るのか、あるいはメイクで出来ないことは何なのかは実際に試してみないと分からないことだらけだったのだ。メイクの可能性と限界が不明瞭なことには、今回の計画の「女性に間違われるレベルを目指す」が現実的な目標設定なのかどうかの判断も付かない。まずはメイクが女装でどの程度有効なのかを把握することが急務だった。
 筆者のメイク学習の顛末は前回の本に書いたので詳しくは割愛するが、ここではそこで習得したメイクの極意、女装におけるメイクの効用と限界、加えてメイクによってコスプレするキャラや見せたい女性像(例えば10代の女の子など)に近付けるレトリックや哲学などについて述べてみたい。
□男の言う「自然体が一番いい」なんてバカなことを信じている女性はいない
 よく「メイクした自分とすっぴんの自分、どっちが本当の自分?」という話を聞くが、メイクは見た目の変化以上に精神に影響を与える。オンとオフを切り替えるともいうが、メイクをすると気分が高揚して美のスイッチが入るのだ。スイッチが入れば自信が顔に現れ、表情がキラキラしてくるのである。人格が変わると言ってもいい。メイクは人格を変える魔法なのだ。先の質問はそのことを如実に表している。
 男性の立場で言えばメイク前とメイク後で見違えるような美人になるのを目の当たりにすると「詐欺」という言葉が思い浮かぶ(汗。筆者も男性なので気持ちは分からないでもないのだが、現に化粧っ気の無い女性が男性に持て囃されるという事実がない以上、「自然体なのが一番いい」などというのは寝言でしかない。「20歳を過ぎたら、ブスはあなたのせい」という言葉もあるように、メイクは女性の嗜みであり、礼儀であり、常識なのだ。
 今回メイクの勉強をして分かったのは「メイクは気持ちを切り替える儀式だ」ということである。女装やコスプレの場合は「これから女性になりきるのだ」「これから大好きなキャラになりきるのだ」という精神統一する大切なプロセスなのだ。ここを疎かにしてしまうと気持ちの上で自信や覚悟が揺らいでしまう。時間がないからといって手抜きをしたり、衣装チェックだけだからとといってメイクを省略してはいけないのである。これから男の娘デビューをしようと思っている人がいたらこの極意だけは忘れないで欲しい。コミケでいっぱいいるけどノーメイクで女子服着るとかマジ有り得ないから(汗。
□女装におけるファンデーションとヒゲ跡の問題
 精神面以外でのメイクの役割は大きく二つある。キレイな部分を際立たせることと、キレイじゃない部分を目立たなくすることの二つだ。アイメイクやリップなどで元からあるパーツの魅力を強調し、ファンデーションやコンシーラーなどで肌荒れやシミなど都合の悪いものをカバーすることである。
 勘違いしてはいけないのはメイクは「元の魅力+α」のαの部分であり、完璧に顔を塗り替えてしまうことではない。女装では男性的特徴である「色黒でシミが多くてヒゲ跡があるトラブルだらけの肌」を出来るだけ隠したい。だからといって極端に白いファンデーションを塗ってしまうと、黒地に白い粉なのでファンデーション自体が浮き上がって見えてしまう。肌が見えないくらいに厚塗りしてしまうと透明感が消えて仮面になってしまうのだ。時間が経つとファンデーションが地割れを起こしてしまい実に不気味である。
 ファンデーションは透明度50%で色を足すストッキングのようなものだ。素肌の色を変えることは出来ないが、肌荒れやシミのような階調の凸凹を目立たなくする効果がある。また色を足しつつも本来の肌の透明感を残している。この透明感は美しく見せるために重要な要素なのである。
 ヒゲの根本をよく観察するとわかるのだがヒゲは皮膚表面に出ている毛先だけが見えているワケではなく、埋まった毛根部分もある程度透けて見えるようになっている。ヒゲを剃った跡もあごが青く見えるのは、肌が薄い半透明な角質が何層にも重なった構造になっており、皮下に埋まった毛根が透けて見えるからである。肌はこの半透明の角質の積み重ねで出来ており、この透明感が消えると肌の質感が消えてキレイに見えなくなってしまうのだ。
 肌の黒さを根本的には解決出来ないのはメイクの限界とも言える。ある種の割り切りと、黒っぽい衣装と髪形で相対的に白く見せるなど見せ方の工夫が必要だろう。
□どういう女装をするか──10代の少女or女性キャラになりきる為には
 今回筆者がコスプレしたのは東方Projectの霧雨魔理沙だが、多くの女装男子はどのような女性像になることを意識しているだろうか? なりたい女性のタイプは色々あるだろうが、年齢としては大抵10代後半から20代前半の可愛い女の子ではないだろうか。コスプレで演じる女性キャラもほとんどはこの年齢枠の範囲内だと思う。ではその「10代後半から20代前半の可愛い女の子」になることが出来る女装男子の実年齢について考えてみよう。
 ターゲット女性像の年齢と実年齢が10歳以上離れると正直しんどいものがある。女性の場合は5歳10歳程度若く見せるアンチエイジングのテクニックがあれこれ存在するが、そこに男性の女装という問題設定が加わると実年齢より若い女性に見えるようにするのは難しい。断定するわけではないが、10代女性を目指した女装は実年齢30歳程度までの肌のキレイな男子に限られてしまうのではないだろうか。少女の肌の質感をスキンケアやメイクで再現出来なければ女装は失敗するのである。
 多少範囲を広げて「10代後半から20代前半の可愛い女の子」であれば想定年齢を25歳女性に置くと35歳あたりまではギリギリ女装出来るはずではあるが、そのような危険を冒すくらいなら最初から30歳前後のお姉さんの女装をした方が多分カッコイイ女装になるはずである。
 逆に考えるとなりたい女性像の想定年齢上限が女装男子の行動のすべてを左右する。なりたい想定年齢=実年齢であれば問題はない。カッコよく可愛くなる方法はいくらでもある。頓に近年のコスプレでターゲットとなる魅力的な女性キャラが全部10代後半なのがネックといえばネックだ。まぁ現実には30代でキレイな人もいるとは言え、女装で最初から30代女性に変身したくはないよね(汗。これに関しては素敵な30代女性キャラを作らないゲームやマンガやアニメのせいにしてしまおう(ぉ。冨樫仕事しろ。
□若く(幼く)見せるレトリック
 メイクの話から少し離れてしまったので、メイクで若く見せるレトリックについて解説してみよう。実は女性の若く見せるテクニックが女装メイクに役立つのである。
 顔面で年齢が如実に現れるのは顔の下半分である。具体的には加齢と共に頬の筋力が弱くなり弛んでくる。たるみが口の両脇のシワ(ほうれい線、ラーメンマンのヒゲみたいなやつ)を作り、また頬からあごの輪郭をおばさんっぽく垂れた感じにする。日々の顔面マッサージや頬のストレッチでこれを防ぐことも大切だが、要はメイクの時に顔の下半分が目立たないようにしてしまえばいいのである。
 視線が頬やあごのラインに向かわないようにするためには、顔面を見たときに他に目立つ場所があって自然にそこへ意識が向くように仕向ければいい。顔の下半分に視線が行かないよう上半分に注視点を作り、視線を集中させるのである。具体的にはアイメイクで目を強調したり、髪を立ててボリュームを増やす、頭にアクセサリをつけるなどの方法がある。また頬を髪などで覆ったりするとかえって目立ってしまうので、敢えて何も隠さない方がいいようだ。ソースは『ためしてガッテン』だから間違いない。

 上記は「老いを隠す」アプローチだが、一方で「幼さを演出する」アプローチもある。顔の形は基本的に不変だが、顔の上半分のボリュームを増やすことで相対的に目の位置が下がり幼く見える効果がある。マンガなどで目の位置を少し下に配置すると子供になるのと同じだ。あとは一つ一つの顔のパーツにメリハリを付けていけばいい。アイメイクで目を大きく見せる。チークをのせ血色良く見せる。リップはグロスも入れて瑞々しく見せる。逆に肌はクリアファンデーションで皮脂のテカリを消しマット調にする。肌のテカリ(光沢感)が消えることであごのラインは目立たなくなり、意図的に目や口などキラキラした場所に意識が向くようになるというわけだ。
 この顔の下半分に意識を向かわせないという手法は、女装においてあごの男性的なごつさやヒゲ跡を目立たせない効果もある。若い女性に見せられる上に男性的な特徴を隠すことが出来まさに一石二鳥なのだ。こうしてぱっと見年齢不詳な可愛い女性に変身することが可能なのである。
 だが注意しておかなければならない点が一つだけある。この章の頭で「メイクは気持ちを切り替える儀式だ」と書いたが、腕が上達しメイクが完璧にキマって若い女性に見えれば見えるほど、自分自身も幼い少女の心情になりきれればなりきるほど、メイクを落として自分の素顔を見たときの落差は大きくなる(汗。あの急激な現実への引き戻され感は異常である。誰か解決方法知りませんか?(ぉ。

■コスプレするキャラの演出と女性らしいしぐさについて

 女性らしさを演出するためには様々な方法があり、大きく分けて撮影モデルがする女性らしいポーズと日常の女性らしい振る舞いの二つに分けられる。どちらも重要だが最終的に写真の出来を目標にするのでなければ特に後者をマスターしなければならない。
 ダイエット、衣装、メイクで女装コスプレを完成させても、その格好でがさつな振る舞いをしてしまっては台無しだ。女性らしさは日常の何気ない所作、立ち方、歩き方といった、普段では意識しない部分から滲み出るのである。またコスプレである以上はそのキャラらしさを前面に出さなければならないだろう。ここでは女性キャラを演出するための振る舞い方や気を付けなければならない点について考察してみたい。
□「コンパクト」「弱く」「ゆっくり」「曲線」をキーワードに女性らしさを演出する
 女装のハウツー本や女性のマナー教本などを見ると実に様々な女性のしぐさが載っている。基本は自分を常に細く小さく見せること。そのために一つ一つの動作を省略したり、楽で簡単なものにしないことである。加えて柔らかさとしなやかさを意識することだ。上から順に確認してみよう。

 まず顔における女性らしさについて。まずマナーではないが女性らしいしぐさの一つとして「顔をこすらない」というものがある。メイクをしているので鼻をかけばファンデーションが落ちるし、疲れたからといって目をゴシゴシこすったらパンダに変身してしまう(汗。当然女性は常日頃から顔には触れないようになる。だから女装したときはたとえ痒くても絶対に掻いてはいけない。我慢しよう。
 髪も弄ってはいけない。男性は簡単に頭をポリポリ掻いてしまうが、女性の場合は髪形が崩れてしまう。んなバカなと最初は思っていたが、実際女性の髪形は前髪の一本一本の流れまで非常に繊細に作られた工芸品なのだ。筆者も普段は短髪なので魔理沙のロングカールの髪形がが気になってしまうが絶対に弄ったり掻き上げたりしてはいけない。
 顔はきちんと正面を向いてあごを引く。普段撮影する立場なのでよく分かるのだが、正面を向いているつもりでも意外と顔や肩が傾いていたりあごが出ていたりする。特にあごを出していると顔の下半分が大きく見え▲の形になり美しくない。あごを首元に引き寄せるのではなく、背筋を伸ばすように顔を引き上げる。
 会話をするときは目だけで相手を見ない。面倒がらずに顔を向ける。可能ならば身体も向けるのが望ましい。座った状態なら上半身を、立っているなら全身をゆっくり向け、勢い良く振り向かない。直線的だったり、勢いがあってはいけない。ばっと振り返ると男っぽくがさつに見えてしまう。
 あとはとにかく女性らしく表情を豊かにすることだ。男性はあまり表情を表に出さないが、そこは意識して感情を表に出した方が女っぽくなる。女装して笑顔を作ると鏡や写真で見ていて「キモ!自分キモイよ!今年一番キモイ!orz」という気持ちになるが(汗、自信を持って笑顔になること。

 次に女性らしい動作について。これは一つ一つのしぐさをコンパクトにまとめることだ。
 まずいつでもどんなときでも絶対に脇を閉じる。脇を開いたら爆発すると思え。開いていると体格が大きい印象を受けてしまう。肘を胴体にぴったりくっつけて二の腕を動かさないのが基本である。手を動かすときは肘から先だけを動かすようにし、手を伸ばさなければならないときは二の腕を内側に寄せて常に胴から離さないように意識する。なるべく手は胸よりも上にせず、挙げるときはしっかり脇を閉める。また腕を大きく振らない。素早く動かさない。小振りでゆっくりの動作を心掛ける。
 手は拳を作ってはいけない。ゴツゴツした印象を与えてしまうので常に開いておく。手の平をパーにすると大きく見えるので指の間はあまり開かない。まただらんと脱力させると指が太く無骨に見えるので、人差し指や中指を外側に反らせて細く長い印象を作る。
 モノを掴むときは指すべてを使うのではなく、親指、中指、薬指だけを使い、人差し指と薬指は立てる。手を伸ばしてモノを取るときは、取りたいモノが右側にあるときは左手で、左側にあるときは右手で取り、身体のラインでS字曲線を作ることを意識する。また机の上のものを取るのに脇を開けて大きく手を伸ばしてはいけない。脇を開けると爆発するので絶対に開けない。モノを手にしたら手は内側にし、手の平と指先も自分に向けシルエットを丸く小さくする。モノを渡すときは片手でなく必ず両手を使う。
 モノを拾うときは拾うモノが自分の利き手側に来るように立つ。モノが正面にある状態で拾うと屈んでしまうことになり格好が悪い。右利きなら左手を膝の上に添え、右手で拾う。しゃがむときは膝を上下に重ね合わせてスカートに段差を作り、裾がまくれないようにする。だがしゃがむ動作はスカートと相性が悪く、また美しさをアピール出来る動作でもない。極力しゃがまないことが理想であり、出来るだけしゃがまない状況を作るのが望ましい。こういうときは近くの男性に拾ってもらおう。

 最後に立ち方、歩き方、座り方の全身動作だ。男性はしっかり地に足を着けてどっしり構えるように立つが、女性は逆に腰を引き上げ、頭の上から1本の糸でつり下げられているように立つことを意識する必要がある。女装の場合は身長の高さが気になるところだが、きちんと背筋を伸ばすことが必要だ。猫背になると背は低くなっても前方に迫りだす頭部と肩が目立ってしまい頭身のバランスが悪くなる。
 また誰かに全身を見てもらう場合には、見せる対象に対して斜めの立ち位置を意識することでシルエットが細くなる。言葉でわかっていても、常に意識してないと男性の意識でつい仁王立ちになってしまうから注意が必要だ。
 スカートを着用しているときは絶対に脚を開いてはいけない。脚を開くと爆発する。太ももの正面側にある大腿筋には力を入れず、内側の内転筋に力を入れるようにすると自然と両膝を付けるようになり脚を閉じた状態になる。かかとは付けて、つま先は握りこぶし分くらい開けよう。
 歩くとき男性は肩幅くらいに両足を広げて2本のライン上を歩くのに対して、女性は1本のライン上を歩く。注意しなければならないのは決して内股ではないということだ。ガニ股や大股にならないよう歩幅は小さくし、ドスドスと足音が鳴らないよう気を配る。女装する場合はヒールの高い靴を履くことが多いだろうが、つま先だけに体重が掛からないようにしないと足の小指を痛めてしまうというか夏コミでは痛めた。水膨れになりしばらく歩行に苦しむことになる(泣。
 椅子に座るときも脚を大きく開いて後ろにドスンと腰掛けてはいけない。面倒でもきちんと椅子を引いて、両膝をきちんと付けて座る。上半身が前屈みならないよう垂直のまま膝とつま先を曲げ、スカートに手を添えながら顔とお尻を真下に沈めるようにする。背もたれには寄り掛からない。寄り掛かると爆発するので垂直に背筋を伸ばす。両脚は内側に突っ込まずに揃えて前に出す。出来れば横に流す。

 こうしてセオリーを羅列していくと女性的振る舞いは盛大に面倒くさいことが分かるだろう。男性は自分で出来ることをちゃちゃっとやってしまうが、女性はただの動作に+αとして「自分を可愛く見せる」が加わるのである。そのため本来の動作の合理性が欠けてしまうのだ。だが女性になるためには利便性を犠牲にしなければならない。
 また「自分を可愛く見せる」という制約で困難になってしまう動作──例えば重い荷物を運ぶなど──は男性にエスコートしてもらうというロールプレイの手段もある。まぁ女性もやろうと思えば「ふんぬッ!」と重い荷物を持ち運ぶことは出来るのだが、そこは役割を譲り男を立てるのが女性のたしなみなのだ。男性としては「俺は荷物持ちのパシリかよ」とクサるかもしれないが、か弱いはずなのにカートに段ボールを山積みして「ふんぬッ!」と持ち運ぶコミケ1日目の女の子を見るくらいなら、ここは素直に男手の逞しさをアピって置いた方がいいかもしれない。
□パンチラ誘発装置であるスカートと、人から見られることで磨かれる女性らしさ
 スカートは女性的な記号であることも然る事ながら、着用していると自然と男性の視線を集めることになる。とにかく動く度にスカートがヒラヒラするさまは実にけしからん。スカートの中からすらっと伸びたキレイな脚、その脚の延長線上に下着がある。ヒラヒラしたスカートはその下着が見えるかもしれない、微妙な丈の長さで見えそうで見えないという要素が注目を集めるのである。
 女性からしてみれば常に他人の視線を感じるだろう。男性が「たまたま視界に入った」みたいに振る舞っていても筆者の経験上恐らくバレバレである( ゚д゚ )こっち見んなwww
 女性は常に他人から見られていることを意識しており、また周囲からの視線を感じることで女性らしい印象を与えようというしぐさになる。心のどこかでナルシストになることはとても大切だ。パンチラを見せたいわけではないが、スカートで注目を集める効果は期待出来るだろう。この「見えそうで見えない」の永久機関であることがスカートの役目と言っても過言ではないのだ。
 女性は常に臨戦態勢なのである。スカートは注目を集める道具であると同時に「見えそうで見えない」を演出し続けなければならない。女性は幼少の頃から他人からの視線を日常的に感じつつ「見えそうで見えない」ようにスカートを穿きこなす習慣を自然と身に付けているのである。歩く、座る、物を拾う、しゃがむ、腰を落とす、すべての動きに男性の視線を感じるなかで生活する。この習慣のお陰で1秒たりとも気を抜かない演出が出来るのだ。
 パンチラは基本的に防がなければならない不慮の事態である。男性は女性の下着が見えるから喜ぶのではなく、本人が「見られたくない」と恥ずかしく思って死守するからキュンキュンするのである(ぉ。見えてしまってはそこで興醒めしてしまうのだ。ゲームでいえばクリアして飽きたからブックオフに売っぱらおうかという心境となってしまうのである。
□女装男子には「他人からの視線」と「見えそうで見えない」を意識する生活習慣がない
 女装してみて分かったが、どんなに丈が長くてもスカートは実に簡単にパンチラしてしまう。魔理沙の衣装はスカート丈が67cmもあり膝がすっぽり隠れる長さなのだが、それでもしゃがんだりするとパンチラしてしまう。スカートがどれほど不便かを男性は理解していないのだ。
 男性には「他人からの視線」と「見えそうで見えない」を意識する習慣がないので、女性と比べてがさつな普段の動作がそのままパンチラポーズを生むことになる。特に女装の場合、様々な意味で股間は絶対に見えてしまってはいけない(汗。幸か不幸かスカートの中身は死守しなければならないのである。「見えそうで見えない」を常に演じつつ、「絶対に見えない」ような振る舞いをマスターすることが魅力的な女装のコツである。
□仁王立ちで真正面から写真に写る女性はいない──ポーズで魔理沙を演出する
 これまで「女性らしさ」を演出する立ち居振る舞い方を考えてきたが、最後に写真に写る場合について見てみよう。いくら女性でも日常生活の動作がそのまま写真映えするポーズとはならない。雑誌のモデルなどが行っている動作は静止したときに見える「女性の美しさ」であり、まったく別の技術であるといえよう。
 写真における女性のポーズはフェミニン、クール、ギャル、ロリータなど演出したいコンセプトによってガラリと変わってくる。筆者の場合はコスプレの霧雨魔理沙なので彼女について考えてみよう。
 今までと相反する話になってしまうが、写真では敢えてわざとらしい不自然な動作が美しく映えることもある。コスプレとして自分が演じる女性キャラっぽさを出すことが大切だ。そのために演じるキャラの性格設定や作品の世界観などをよく研究するする必要がある。ここから先は参考文献が女装ハウツー本やマナー教本ではなく、マンガや設定資料集、ビジュアルファンブック、ニコニコ動画、pixivなどに変わる(汗。
 例えば魔理沙の場合「根は真っ直ぐで努力家で勉強家。ひねくれ者で性格が悪い。喋り方は語尾に「〜だぜ」「〜か?」等をつける男口調」がキャラの特徴なので、ある意味男っぽい女の子を演じる必要がある。男性的な体格である無骨さを消し、女性的な華奢な身体のラインを作る。一方でしなを作り過ぎず、元気でちょっぴりがさつさを出す。それを動作ではなく静止したポーズで表現するので、例えば「歯を見せる笑顔」に「キラッ☆」のジェスチャーなどが効果的だ。一発で成功するものではないのでいろいろ鏡やカメラの前で試行錯誤が必要であろう。
 ちなみに筆者は魔理沙の姿でフラフープしながらピースしたり、ホウキにまたがってジャンプしたりしてセルフポートレートを撮った。コルセットを装着した状態でフラフープしながらピースサインしたり、タイマーシャッターのタイミングに合わせてジャンプするの大変だったんだぜ(ぉ。それが本当に女性らしいのかどうかは楽しかったのでキニシナイ☆

■講談社から連絡が来てげんしけんに載りました

□そんなカタチで終わらせて大丈夫か? 大丈夫だ、問題ない。
 さて、夏コミで仕込んだ一発ネタとしての女装コスプレ活動は大成功を収め、次の冬コミに向けて中途半端だった『カメラ小僧の裏話3』を完成させるべくきぱっと気持ちを切り替えて構成を練っていたのだが、そこに天の声が聞こえた。

『神は言っている、ここで終わる運命ではないと——』

そう、まだ終わってはいなかったのだ。本人は終わらせる気マンマンだったのだが、状況がそれを許してくれなかったようだ。事件が起こったのは9月の暮れのことである。サークルの窓口アドレスに一通のメールが届いた。題名は「はじめまして。アフタヌーン編集部と申します。」なんと講談社からのメールである。
□筆者は魔理沙の格好で木尾士目先生に女装研究本を売っていたらしい(汗。
 講談社からのメールの内容はこうだ。『げんしけん』が続編の二代目として月刊アフタヌーン12月号から連載開始であること、その取材で作者が夏コミに行った際にウチの女装男子研究本を見付けたこと、登場人物が女装の裏話を語るシーンで当サークルの本を参考にさせて頂いたのでご了承頂きたいということだった。要するに筆者は女装姿で木尾先生と対面していたらしい。なんという衝撃の事実(汗。木尾作品といえば『四年生』の頃からのファンだったのに。女装して接していたとは赤っ恥モノである。

 問題は返答をどうするかだ。無論げんしけんのマンガ制作に自分の本が役立ててもらえるのなら是非もない。嬉しい限りである。ただ一方で「そっちの方向で事が大きくなってもいいのか?」という気持ちもある。なにせ取り上げるネタが男の娘だ。げんしけんでネタになりましたと大々的に告知をすれば、ウチのサークルは「カメラ小僧評論サークル」ではなくきっと「女装研究サークル」として認知される(汗。それに作者は女装研究家というイメージが付いて回ることになるだろう。一発ネタとしてにわかコスプレイヤーだったのが、一気にソッチ方面の専門家となってしまうのである。
 講談社さんからのメールにも「前書きに「読み終わったらどうかこの本を焚書して下さい」ともあることから、参考文献として表記するのもはばかられます。」とある(汗。商業誌に誌名やサークル名が載ってしまえばイメージが一人歩きし歯止めが効かなくなる。編集部の方も同じ懸念を抱いていたのだろう。さすがに考えた。小一時間考えた。そしてでた結論は

大丈夫だ、問題ない。

どうせ同人誌として一度は世に頒布したものだ。それにサークルのウェブサイトでは堂々と魔理沙のコスプレをしたことを書いている。何より作者が女装研究家なことに変わりはない(ハイ出ました開き直り。一応反響が大き過ぎると困るので、げんしけん作品上での参考文献表記はナシということでお願いし、その上で個人的な範囲での告知をこちらでさせて頂くということでお返事を出した。
□フェミニン路線の波戸ちゃん、こんなにかわいい子が(以下略。
 木尾ファンとして『げんしけん』1〜9巻は持っていたが、メールを頂いてから改めて今回の『げんしけん二代目』に注目してみる。連載に先駆けた読み切り版の第56話では現視研の新入部員として男の娘の波戸賢二郎くんが登場している。
 新年度の勧誘活動にて荻上会長のイラストパフォーマンスによって、頭に「腐」の付く女子ばかりが集まることになる。そんななか朽木くんのある意味GJともいえる働きがあり、そのなかの一人である波戸くんが女装した男子であることが判明する(まぁいずれバレることを考えれば、初日からカミングアウトした上で入会出来たのはラッキーだったであろう)。そのままほぼ全員集合の新歓コンパで斑目が咲姉さんにからかわれて赤面するという流れだ。

 女装ネタの提供者としては、正統派美人過ぎる波戸ちゃんの姿を見て正直な話頭を抱えてしまった(汗。困ったという意味ではなく、クールポコに「やっちまったな!!」と声を掛けられた気分になってしまったのである。いうなれば波戸くんが分身として筆者の体験した苦労話を語るのだ。思いっ切りかわいいではないか。可愛過ぎる。こんなにかわいい子が女の子のはずがない。これは想像以上にイタ過ぎる事態だ(汗。この回は筆者の同人誌が出る前に発表されたものだが、服装といいメイクといい、波戸くんは「男性的特徴を隠し尽くす」という女装の上での基本的なセオリーを踏襲している。なるほど確かに自分の書いている本の内容がビンゴしてしまう。波戸くんにしても筆者にしてもお互いが適任だとしか思えない(汗。初見でこれはもう腹を括るしかないなと覚悟を決めたのだった。
□第57話と第58話についての見解
 というワケで11月25日発売の月刊アフタヌーン1月号にて女装の裏話が掲載されることに繋がるのだが、その前の第57話も今回の第58話も波戸くんの女装がストーリーの中心となっているので併せてコメントを載せておこう。
 まず連載再開の第57話だが、波戸くん本人より周囲からの女装に対する反応が描かれているのが興味深い。寛容的な現視研メンバーの中で、同じ新入部員の矢島さんだけは女装に対してドン引きしている。そうだよね。普通ドン引きするよね。いくらかわいくても。どうしても波戸くんというキャラクターに対して自己を投影をしてしまうので、筆者自身「自分は周囲からこういう風に見えているのかしら」とモニョってしまう(汗。まぁそれでも、いくら心は女性でも女子トイレで女装の準備をするのはNGだ。それこそ自分が前回書いた女装研究本の通りである。性別がシームレスになり男女で区分けされたトイレや更衣室に入り放題になってしまうからこそ、女装は一般人に受け入れ難いものとなる。変態紳士であれば堂々と男子トイレを活用しよう(ぉ。現実世界には斑目ルームがないのだから。ちなみに中学まで柔道をやっていたのであれば本来なら体格も肩幅も大きくなってしまい女装に不向きな体つきになるはずだが、そこはフィクションなのでスルーすることにする(汗。
 次に自分の体験談が載った第58話。波戸くんはワンピースにデニムのジャケットというAラインのコーディネート。作中では語られていないが彼は実に男性シルエットを隠すのが上手い。矢島さんの部屋で酔い潰れて寝てしまっているのでコルセットは装着していないだろう事を考えると、純粋にスリーサイズが気になるところだ(汗。寝姿がエロくてなんともヤバい。色々と。あと波戸くんはゆるふわカールのロングウィッグを使っているが、付けたまま寝たりしたらボサボサになって使用不可になってしまうが大丈夫なのだろうか。ストレートと違いカールは手入れが非常に難しい。そこらへんはマンガだろうか。
 後半に矢島さんが波戸くんのスカートをめくろうとしているが、結論から言えば(波戸くんが完璧な女装を期しているのであれば)きちんとペニスを内側にタックしている。だからショーツの上からは男性の象徴である"モッコリ"を確認することは出来ない。矢島さんはさぞかし驚いたことであろう。女性としていろいろとショックを受けていたようだが、なんとも謝りたい気分である(汗。
 それにしても今回のことでは一つ懸念がある。げんしけんにウチの同人誌の内容が載ることをオープンにしたのはいいのだが、それを知った人がウチのサークルに波戸くん並の美人の男の娘を期待してやってきたらどうしよう…。筆者は夢を壊さないように終日覆面するべきだろうか(汗。うーむ…。

■「こんな可愛い子が女の子のはずがない」が意味するもの

 2009年頃から「こんな可愛い子が女の子のはずがない」というフレーズがネットで流行したが、この言葉に違和感を感じた人もいるのではないだろうか? つまり何故「男の子のはずがない」ではないのかということだ。「こんな可愛い子が男の子のはずがない」の方が意味としてはしっくり来るだろう。最終章としてこのことについて考えてみたい。
□女装男子がなりたいのは「自分が求める理想の女性像」
 男性が女性変身願望を持つとき、ただ漫然と女装するのではなく女装男子本人のイメージする「なりたい女性像」が存在する。女装をする上ではその女性像に近付くように努力するのである。この辺はコスプレイヤーが好きなキャラに近付けるように努力するのと同じだろう。
 さてこの「自分が求める理想の女性像」だが、どんな女性像だろう。若くて、キレイで、可愛くて、性格も優しくて、気配りが出来て、ずる賢くなくて、腹黒くなくて、ビッチ臭がまったくしなくて、本当に目の前にいたら惚れてしまうような完璧の女の子である。まぁ現実には存在しないのだが。そもそも裏の顔、嫌な面を持たない完全無欠な人間などいるわけがない。
 だが、その理想の女性像を完璧に把握している自分自身がそのような女性に成りきるなら話は別だ。女装男子は女性特有の嫌な部分までを忠実にコピーしたりはしない。自分が欲する完璧な女性像になるのだ。ある意味男性から見ると嫌な部分のないパーフェクトに無垢な可愛い子になってしまうのである。はあーん魔理沙可愛いよ魔理沙ペロペロペロペロこれはひどい本日のお前が言うなスレはここですか?
 というワケで、そんなパーフェクト少女が目の前にいたとしても騙されてはいけない。そんな男性が求める理想の女性がいるわけがないのだ。計算高くなくて、狡くもなくて、男性のマニアックな自分の世界にも理解を示してくれて、というか一緒に趣味を共有してくれて、キュンキュンヽ(゚∀゚)人(゚∀゚)ノキュルルン出来るような可愛い子がいたとしたらそいつは男だ。女の子のはずがない。ああー、この際男の娘でもいいかなー(マテ。
□可愛いものを可愛いと感じる「男の娘思考」
 一方で男の娘もとい女装男子の立場から語るとすると、女装はあくまで女装でありちゃんと中身は異性愛者である(汗。男性を好きになったりはしない。
 この女装男子、特にコスプレの場合は女性になりたいのではなく「このコスプレ衣装可愛い。ちょっとタブーな気もするけど、こっそり着てみたい」という気持ちが出発点となっている。二次元の男の娘キャラは様々な設定の場合があるだろうが、女装男子は男性から見た理想の女性としての感情が心のどこかにあり、それがこっそり可愛い格好をしてみたいという欲求に繋がるのだろう(汗。女性視点の感情を持ちつつ、男性として女性が好き。そのうち女装した自分に惚れてしまうようになるかも知れない。鏡を見てると胸がキュンと苦しくなる。これって恋? いえ、変です。
 少なくとも理想の女性像、好きなキャラクターに変身するということで独特の高揚感を感じることが出来るのは間違いない。今回やってみた立場としてはやはり変身したときにキュンキュンするのだ。このテンションは女装という性的倒錯した活動以外では代替不可能である。コスプレイベント等で人前に出る女装男子はここ最近着実に増えてきたが、自宅でこっそり女装やコスプレする女装男子は潜在的にもっとたくさんといる思われる。現に女装して彼女と街中をデートしたり女性女装ごちゃ混ぜでガールズトークをしたりしている人も多く存在するのだ。目の前で微笑んでいる可愛い子、実は男かも知れないゾ。俺の女装がこんなに可愛いわけがない!

■おわりに

 えー、これを書いてる本日クリスマスです(死。あまり今年後期のサークル活動を回想してる時間もないんですが少しだけ(汗。
 ネタでコスプレしたつもりがここまで反響が大きくなって勢いで2冊目まで出してしまって正直どうしよう…という状態です(大汗。まぁ、本来メインの『カメラ小僧の裏話3』が今年一年まるまる掛かりっきりになり、執筆に相当難航したのでその反動でデタラメな本を出したいという思いがありました。そんなとき講談社さんから『げんしけん二代目』についてのお話があり、驚き喜びつつも脳内でピコーンとこの本の題名が思い付いてしまったんですね(滝汗。自分で読み返してみて、面白いけどここまで自分の変態妄想性癖を外部にさらけ出して大丈夫か? 大丈夫だ、問題ない。──じゃなくて(汗、という一抹の不安はありますorz
 まぁ苦労したカメコ本新刊も無事出せる見通しが立って、この本もちゃんと形になって今年の活動には一応の決着を着けることが出来ました。来年からはまたさらに妖しいテーマに取り組みたいと思います。『カメラ小僧の裏話』シリーズもよろしくね。
 簡単ではありますが最後に謝辞を述べさせて頂きます。表紙と挿絵を描いて頂いた高崎かりん様、棒人間を描いて頂いたどっこ様、売り子予定の庶務部長様、デザインと印刷をして下さったのの様、毎度変わらぬご支援を賜り本当に助かっています。ありがとうございました。
 さて、これを書いている時点で実はまだ今回コスプレをするか決めておりません(何。天候と体調次第では何かやりたいとは思っているのですが、またサークルスペースで変な格好してたら今年見納めの男の娘として笑って許してやって下さい(願。皆様よいお年を!(^-^)/

2010年12月某日 職場のiMacにて(←来年は自分用のMacBook Proを買うぞ!)
よろず評論サークル「みちみち」代表 みちろう

■改訂版に当たって

 これまで『誰 も 引 い て は な ら ぬ 〜女装男子研究本〜』及び『俺の女装がこんなに可愛いわけがない 〜女装男子研究本2〜』におきましては、コピー誌という形態にて、それぞれ初版、第二版を発行してきました。
 『誰 も 引 い て は な ら ぬ 〜女装男子研究本〜』の初版に事実誤認の記述があり、第二版及び続編である『俺の女装がこんなに可愛いわけがない 〜女装男子研究本2〜』にて、訂正とお詫びを掲載してきました。
 この度コピー誌からオフセット誌に切り替えて増刷するにあたり、事実誤認の部分を加筆修正し、改訂版として発行することに致しましたのでご報告致します。

■訂正とお詫び

※下記の記述は『誰 も 引 い て は な ら ぬ 〜女装男子研究本〜』初版に対してのものです。

 前回の本『誰 も 引 い て は な ら ぬ 〜女装男子研究本〜』にて事実誤認がありました。
 19ページの「『スカート』と『スネ毛』の組み合わせは女装の象徴…んなこたーない」にて「内部で伸びた毛は長期的には吸収されて消える」という内容を載せましたが、正しくは毛を覆っていた皮膚が古い角質となって剥がれ落ち、長く伸びた状態で表面に出てきます。吸収されません。放置すると消えていたので吸収されたと誤認していました。
 24ページの「ボン!キュッ!ボン!のスリーサイズを攻略する」にて「女の子に見えたフィギュアが実は男の娘である」「どうして女の子に見えたのか、一言で言えばボン!キュッ!ボン!の女性の形をしていたのである。」という内容を載せましたが、そのフィギュアはシュタインズゲートの椎名まゆりという正真正銘の女性キャラでしたorz
 どうやらシュタインズゲートのヒロインである椎名まゆり(女性)と男の娘キャラである漆原るか(男性)を執筆時に混同していたようです。
 訂正してお詫び致します。

■参考文献

いがらし奈波, 『わが輩は「男の娘」である!』, 実業之日本社, 2010年
尾花けい子, 『尾花けい子のメークの常識・非常識』, 小学館, 2008年
三才ムック vol.293, 『現代視覚文化研究 vol.4』, 三才ブックス, 2010年
三葉, 『オンナノコになりたい!』, 一迅社, 2007年
三葉, 『オンナノコになりたい! コスプレ編』, 一迅社, 2008年
千吉良恵子, 『千吉良恵子の可能力メイク』, ワニブックス, 2008年
女装普及委員会, 『オトコの娘のための変身ガイド-カワイイは女の子だけのものじゃない』, 遊タイム出版, 2008年
鳥山仁, 『今日からオンナノコ!!』, 三和出版, 2009年
吉永真悟, 菘あつこ, 『続オトコの娘のための変身ガイド-女声で歌う しぐさで魅せる』, 遊タイム出版, 2009年

■奥付

【誌名】俺の女装がこんなに可愛いわけがない 女装男子研究本2
【発行年月日】2010年12月31日 コミックマーケット79 初版
       2011年8月14日 コミックマーケット80 第二版
       2012年12月31日 コミックマーケット83 第三版
【構成・執筆】みちろう
【イラスト】高崎かりん(表紙と本文), どっこ(本文棒人間)
【誌面デザイン・編集】のの
【印刷】大陽出版株式会社
【発行サークル】みちみち
【発行責任者】みちろう
【ウェブサイト】http://miti2.jp
【連絡先】circle@miti2.jp

※本書内容の無断転載は固くお断りします。
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