よろず評論サークル「みちみち」

●カメラ小僧の裏話2 撮影コミュニティにおける男女関係(全文無料公開)

『カメラ小僧の裏話2 ─撮影コミュニティにおける男女関係─』表紙

下記の文章は、2009年12月31日、コミックマーケット77で発表した『カメラ小僧の裏話2 撮影コミュニティにおける男女関係』の全文です。(図解、挿絵除く)
図解、挿絵の入った完全版の冊子を希望される方は、ぜひ COMIC ZINによる委託販売 をご利用ください。
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■はじめに

 みなさんこんにちは〜、著者のみちろうです。この度は本書「カメラ小僧の裏話2─撮影コミュニティにおける男女関係─」を手に取って頂き、誠にありがとうございます。年の瀬大晦日、寒い中はるばる当サークルまでお越し下さり感謝感激です。お茶ドゾー(́・ω・)つ旦
 本書はコミックマーケット76にて上梓した「カメラ小僧の裏話」の続編にあたり、「若い女性を撮影するカメラ小僧の人たち」や「彼らを取り巻く環境」にスポットを当てた評論本です。カメラや写真表現の技術的なことよりも、人間関係やコミュニティの話がメインとなります。
 撮影する側の多くは男性です。しかし被写体として女性もその場に居合わせている以上、その環境は「異性同士が直接交流するコミュニティ」といえます。そこで今回は「撮影コミュニティにおける男女関係」をテーマに筆を執ってみました。カメラ小僧の周囲で起こる男女のゴタゴタやドロドロを本にしたわけですね。我ながら勇気があるなと思います。はい。

 本書は形式的に序論(Chapter.1)、裏話(Chapter.2〜5)、考察(Chapter.6)、結論(Chapter.7)と4つに分かれています。基本的に読み物なので難しく考えなくても読めるようになっていると思います…たぶん(ぉ。もっと論理的に構成するつもりだったのですが、裏話(Chapter.2〜5)で痛いエピソードをあれこれ紹介しているうちにオチも含めて全部書いちゃいました。実話をストレートに書くと筆者が背後から刺されかねないので(汗、生命の危機に晒されない範囲でまとめてあります。
 考察(Chapter.6)では一般的に「男性も女性も集まるサークル活動では何が起こるか」を恋愛活動の観点から分析しています。同じ趣味の男女が集まっているんだもの、そりゃあ好いた惚れたの色恋沙汰が起こりますよ。1人の女性を2人の男性が好きになったら普通泥沼になるでしょう。飽くまで一般論ですよ。ええ。
 そして結論(Chapter.7)では「撮影コミュニティはその一般論とどう違うのか?」について、筆者の思うところを簡潔にまとめています。これを読めばこの界隈の男女関係の構図や、それぞれの立ち位置を把握出来るかもしれませんし、単に怒り狂うだけかもしれません。
 なぞなぞから始まる序論(Chapter.1)から読み進めるもよし、気になるタイトルから読み始めるのもOKです。

 前回同様、痛い話がてんこ盛りとなっています。著者自身血反吐を吐きながら書きました。読者の皆様には、正月のコタツの席でみかんでも食べながら笑ってお納め頂ければ幸いです。

2009年12月31日 コミックマーケット77にて
みちろう

■目次

はじめに
目次
Chapter.1 序論「カメラを構えるオトコ」と「華やかに着飾るオンナ」がいる空間
Chapter.2 裏話 コミュニケーションが一方通行な困った人たちの末路
Chapter.3 裏話 壁に向かって話しかけていることに気が付かない人たち
Chapter.4 裏話 付き合ってはいないけど、いつも一緒の男女二人組──グレーゾーン関係
Chapter.5 裏話 二人が結ばれるとき──ハッピーエンドの条件は?
Chapter.6 考察 男女関係のドロドロ力学と人間関係崩壊理論
Chapter.7 結論 まぁ、みんな痛々しいままでいいんでね?
おわりに
奥付

■Chapter.1 序論 「カメラを構えるオトコ」と「華やかに着飾るオンナ」がいる空間

 冒頭からなぞなぞを出してみよう。オタクはオタクでも、異性の友達がたくさんいるオタクってなーんだ?一般的にオタクというとリア充(*1)とは正反対の属性であり、特異な趣味を持ち、同性だけの仲間だけで語り合うような人物像がイメージされるのではないだろうか。しかし、例外もある。例えばカメラ小僧はその一例であろう。

 カメラ小僧とは、コミケでゲームやアニメのキャラに扮するコスプレイヤーや、撮影会などで綺麗に着飾るモデルなどを撮影する趣味のカメラマンのことだ。またこれらに限らずアイドルやレースクイーンなどを撮る対象としているカメラ小僧もいるだろう。いずれも高性能な撮影機材を揃えて撮影に臨んでいる。
 前回の本でも詳しく記述したが、ここ10年間でデジタルカメラが普及し始めたことに伴い、カメラ小僧の人口が爆発的に増えた。また近年のコスプレ文化や撮影会サークルの成長によって、撮られることに抵抗の少ない女の子、あるいは積極的に撮られることを望む女の子も同様に増加してきた。同じ趣味の人たちが増えれば次第に交流の場が作られることになり、そこに女の子がたくさんいれば男も集まってくるのは自然なことだといえる。撮影のために、コスプレ衣装や華やかな衣装を着飾る女の子、それを撮るカメラ小僧で構成された「撮影コミュニティ(*2)」はこのような形で急速に拡大してきたといえるだろう。
 改めて確認するまでもなくカメラ小僧の多くは男性であり、コスプレイヤーや撮影モデルの多くは女性だ。カメラ小僧は若者からオッサンまで比較的年齢層に幅があるのに対して、コスプレイヤーや撮影モデルの女の子の方は二十歳前後の容姿端麗な女性ばかりである。
 「そこに女の子がたくさんいれば男も集まってくる」と書いたが、その集まってくる男の動機は何であろうか。直接的には撮影のためだろうが、多かれ少なかれ女性そのものへの興味を含んでいるのが正直なところだろう。恋人として交際したいという願望は極端だとしても、男性であれば女性と親密な関係になれれば嬉しいものである。やはりカメラ小僧の中にも、ついついその本音の欲望がそのまま表に出てしまう人間がいるようだ。また女性側もカメラ小僧から男性としてのアプローチがあれば、コスプレイヤーやモデルではなく女性としての反応を見せるだろう。笑顔を崩さずに「あたしに近寄らないでね♪」と言われるかもしれないが。(*3)
 さてさて、筆者もカメラ小僧の1人としてこの「撮影コミュニティ」で活動しているが、この界隈はオタクの世界の中でも比較的男女の交流が多く、それに付随する悲喜こもごもがたくさんある。そして、男性であるカメラ小僧と女性であるモデルやコスプレイヤーの間には一般的な男女関係とは異なる関係があるように見える。何がどう違うのか、どんな痛々しいエピソードがあるのか、興味がある人も多いのではないだろうか。次章からは男女としての関係を実践しようとする者と、立ちはだかる現実の厳しさを紹介していこう。

(*1 リアルに充実している人のことをいう。それだけなら人生を楽しんで活き活きしている人全員が当てはまりそうなものだが、実際には恋人や配偶者がいる人のことを指す。バーチャルな彼女と対比するらしい。)
(*2 カメラ小僧は全員が何かのサークル組織に所属しているわけではないので、「撮影サークル」ではなく「撮影コミュニティ」とした。)
(*3 こう言われて喜ぶ人もいる。世界は広い。)

■Chapter.2 裏話コミュニケーションが一方通行な困った人たちの末路

「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ほんっと〜にごめんなさい!」
「──アンタ自分で何が悪いか、今もまだわかってないでしょ(怒」(*4)

 男女間トラブルの王道といえばセクハラとストーカーの類である。手っ取り早くその話からしてしまおう。セクハラといってもいろいろ種類がある。カメラ小僧の世界で多いセクハラは立場を利用した性的関係の強要(パワーハラスメント型)や電車内でエロ雑誌を読むような類のもの(環境型)ではなく、「自分がセクハラをしている」ということに自分自身気付いていない『無自覚型』だ。例えば以下のような例である。
□ミニスカート&体操お座りはネタとしてありでしょ?──Aさんの場合
 Aさんは先日初めてデジカメを買い、コミケのコスプレ広場でデビューしたばかりのカメラ小僧だ。普段は全くといっていいほど女性と関わることのない毎日だったが、コスプレ広場でカメラを持てばコスプレイヤーの女の子が笑顔で撮影に応じてくれる。そのことだけでカメラ小僧に挑戦する動機は十分だった。(*5)
 コミケやコスプレイベントへ足を運ぶうちに、たくさんいるコスプレイヤーの中でも特に若くて可愛い女の子や、露出が多くてセクシーな衣装の女の子を中心に撮り歩くようになった。他のカメラ小僧がそういう女の子のところに集まっていると、どうしても自分も撮っておかないと損をしている気分になってしまうのだ。
 そしてある日、初音ミクのコスプレをした可愛い女の子(*6)を見付け、いつものように撮影をしようと声を掛けた。

「すみません。撮影よろしいでしょうか?」
「あ…え〜と…は、はい」

 女の子の初々しい反応を見るに、コスプレイベントでの撮影に慣れていないようだ。彼女はどうすればいいのかわからず固まってしまっているようだった。Aさんは考えた。棒立ちで撮っても仕方がないので、ポーズの取り方を教えてあげよう。せっかくのミニスカートだ。どうせ中は見せパン(*7)だろうし、見えそうで見えないギリギリの位置で撮れば色っぽい写真が撮れるだろう。(*8)

「じゃ、ここに体操お座りしてもらえる?」
「え……?」

 彼女は一瞬驚いた表情を見せたが、一度撮影に応じると言った手前しぶしぶという感じで、スカートの中が見えないように手で押さえながらゆっくりと座った。…って、最初から手で完璧に隠しちゃったら意味ないじゃん。見えそうで見えないのがいいのに。Aさんはこちらの意図が通じないことにもどかしさを感じながら、つい無意識に手が延びてしまった。

「あ、その手、邪魔だから(がしっ)」
「きゃあ!」

 彼女は悲鳴を上げ、不安そうな顔のまま動かない。一気に注目が集まる。傍から見ればコスプレイヤーが手でスカートの中を隠しているところを、カメラ小僧が退けて撮ろうとしたように見えていただろう。Aさんのカメコライフは、その日、終焉を迎えた。
□仲が良かったはずなのに、いつの間にか音信不通──Bさんの場合
 Bさんは昔から写真が趣味のカメラ小僧だ。かねてから女性ポートレートに興味はあった。だが街角で女性に声を掛けて撮らせてもらうタフな人柄というわけでもなく、今までは風景や静物を中心に写真を撮ることを習慣としていた。ある日Bさんは、都市部を中心に企画される撮影会という催し物──若い女の子のモデルを起用してスタジオや公園で撮影が行われる活動があることを知った。撮影会では最初からモデルの女の子がそこにおり、自力で被写体を調達する必要がない。これは実に魅力的であり、Bさんは早速参加を申し込むことにした。
 撮影会はBさんにとって、毎回労せず容姿端麗な女の子を撮ることができる便利なシステムであった。今まで女性ポートレートに挑戦してこなかった反動のせいか積極的に参加するようになり、気が付くと撮影会主催者や参加仲間から常連カメラマンとして見られる存在となっていた。
 何度も撮影会へ通っているうちに、自然とモデルの女の子とも顔見知りになる。撮影後の打ち上げなどでも会話をするようになり、仲の良いモデルの女の子も増えていった。そのうちモデルの方からあちこちの撮影のお誘いが来始めると、(*9)Bさんは次第に特定の好みのモデルを中心にして撮影活動を続けていった。
 1〜2年後、Bさんはあるモデルとはすっかり親しい間柄となり、彼女と二人だけでの個人的な撮影も多くなった。携帯の連絡先も交換し、ちょっかいを出せばツッコミが返ってくるような、もう友達といえる親しい関係だ。とはいえ謝礼や衣装代、スタジオや撮影時の食事代などはすべてBさん持ち、という部分は会った当初から変わっていなかった。撮影は楽しいが、その出費の負担は決して軽くはないのが正直なところだ。お金を出す以上は、自分の撮りたいものをとことん追求したいというカメラマンとしての気持ちもある。Bさんは仲の良い彼女ならこちらの意図も伝えやすいし、多少の無理にも応じてくれるだろうと考え、次回の撮影の計画を練った。

 ある日Bさんはいつものように、常連待遇の撮影会で彼女のモデル出演のする回に参加しようとした。だが募集開始して日が経っていないにも拘わらず、既に参加枠が満員御礼で完売となっており申し込みが出来なかった。あれれ、他に超人気のモデルが一緒に出演するんだっけ?と思い確認してみたが、特にいつもと変わりがない。仕方がない、今回は諦めてまた次回の出演の時に参加しようと考えた。
 だが、その後数週間が経とうとも、彼女の出演する撮影会が一向に企画されない。不思議に思い主催者に「あの女の子は次回いつ出演するのか」と問い合わせてみたら「○○ちゃんはモデル活動を休止しましたよ。一ヶ月前の回が最後の出演でお別れ会だったんです」との返答。なんだって!?まさかと思い彼女の携帯に電話を掛けてみたが、空しく「この番号は現在使われておりません」のアナウンスが響くだけだった…。

 このように「自分がセクハラをしている」という自覚のないまま行動し、本人にとっては訳もわからないまま退場処分となるケースがある。しかも場合によっては処分されたことにすら気が付いていないことも。何が起きているのか、セクハラ劇の舞台裏を覗いてみよう。
 ある程度女性を撮影する活動を続けていると、撮影後のファミレスでの食事や居酒屋での打ち上げなどで「ここだけの話」と称して「あのカメラマン、ちょっと困るんですよね…」という話題になることがある。コスプレイベントや撮影会では相手と直接対面する以上、そこでのコミュニケーションはとても重要なのだが、女の子に対する親しくなりたいという欲求が大きくなるあまり、行き過ぎた行動に繋がる人がいるようだ。
 分かりやすい例でいえば、「あ、衣装に糸くずが付いてるよ、取ってあげる」とちゃっかり身体に触ったり、女の子に下着や胸元の見えやすいポーズを指示し気付かないふりをしてジロジロ見たり、大して親しくもないのにミクシィのマイミク登録を要求してきたりすることがある。(*10)筆者の聞いた話では、あるコスプレイベントでカメラ小僧が女の子へのきわどいポーズ(*11)を要求し、さらにはそのポーズとなるように直接手足を触るなどして警察に連行された例もある。(*12)
 ただ、上記のようないわゆる痴漢トラブルはすぐに事件化するので、逆に早期に解決されるケースが多い。むしろ最初は紳士的に接し、長期の親しい知り合いになってから少しずつエッチなちょっかいを出してくるケースの方が潜在的に多く、そしてやっかいなのだ。
 要するに「親しい仲になったのだから、このくらいは笑って許してくれるだろう」という勘違いがセクハラカメラ小僧の根底にある。執拗な追っかけと拘束、(*13)カメラ小僧本人が衣装を用意してくる、(*14)困惑するプレゼント、(*15)打ち上げの席での絡み酒(*16)などなど…。セクハラは相手が不快を感じることで成立するので、明確な線引きはない。同じ行為でも本当に仲のいい相手なら「このスケベオヤジ!」とツッコミが入ってみんなで笑って終了となるだろう。(*17)だが空気の読めないカメラ小僧は相手の許容範囲を甘い見通しで判断してしまうようだ。

 では女の子がセクハラと感じるような行為があった場合、その後どうなるであろうか?まず加害者本人のいない打ち上げの席や、女の子だけの集まりで「あのオジサン変なんです」というセクハラカメラ小僧の欠席裁判が行われる。事実認定がなされある種の判決が出れば、一般的に女の子側は警戒モードとなり、また他のカメラ小僧側もセクハラをする人間の排除に向かう。(*18)ただ相手はある程度付き合いのあるカメラ小僧であり、事を荒立てるのが何かと面倒な場合、皆表面上は何もなかったかのように振る舞い、水面下で問題が処理されることもある。(*19)

 特に撮影会ではこのようなケースが多い。モデルの女の子にとって、それなりに付き合いのあるカメラ小僧に対して「あなたは私にセクハラをしてくる嫌な人ので、以後の撮影には一切応じません」と最終勧告するのは、その後の対策や対応のことを考えるとかなりの負担となる。拒絶されたカメラ小僧がどんな行動を取ってくるか予想が出来ないからだ。勧告を無視して連絡を取ってきたり、コミケのような出入り禁止措置の取れないイベントで会おうとするストーキング行為、もしくは悪い噂を勝手にでっち上げて流布するなど(*20)の迷惑行為に及ぶこともある。
 結局のところ、後々の被害を大きくしないためにもモデルの女の子は主催者に「あのカメラ小僧はセクハラをしてくるので外して欲しい」という申し出をし、大抵は主催者側で処理される。周りの人間が協力し合って、セクハラカメラ小僧が感付く前に女の子本人と接触出来ない状況を作り上げていく。具体的には

・対外的に「女の子がモデル活動を引退した」ということにする(*21)
・撮影会規約を改定し、「条件に該当する人は参加をお断りする」ということにする。条件内容は加害者が該当し、かつ建前上一見正当に見えるものであればどのようなものでも構わない(*22)
・単純に、加害者からの撮影会参加申し込みがあったら、「すでに満員御礼となり募集は終了しました」でその場を凌ぐ

という手段をとることが多い。
 ここで重要なのは、「誰が加害者で」「誰が被害者(告発者)か」が加害者本人はもちろん外側からも完全に見えないようにすることだ。それによってセクハラカメラ小僧の逆ギレ行動の芽を摘み、女の子も公には武器を取らずに済む。ついでに周りの人間は不届き者の存在に気分を害することもない。
 こうしてその撮影コミュニティにおいて誰が誰にセクハラをしたかは闇から闇へ葬られ、当のセクハラカメラ小僧はいつの間にかそこに参加できない状況となっていく。加害者本人にとって、お目当ての女の子に会えなくなった上になんとなくみんなよそよそしい雰囲気となれば、何が起こったのか気が付いていなくとも自然と足が向かなくなるだろう。たまにしかその撮影会に参加しないような外野のカメラ小僧にとっては、そこで誰が何故消えたのか知らない(知る必要のない)まま加害者フェードアウト、という具合である。
 結局のところ、単純に相手の嫌がりそうなことは止めましょうという話なのだが、この類の話はしょっちゅう聞いた。しかも加害者のである男性は、自分の振る舞いがセクハラとなっていることにほぼ気が付いていない。(*23)まぁ、自分が嫌われていることを知らないままことなく問題が処理されていくのは、本人にとって幸せなことかも知れないが…。

(*4 この「とりあえず謝ればいいと思ってる」はかえって相手をキレさせる。というか「何が悪いかわかってない」という時点で致命的なのだけれど。)
(*5 ここらへんの「カメラ小僧になる動機」については、前著「カメラ小僧の裏話」の中の「カメラ小僧という人種〜傾向と対策〜」で詳細に書いたのでそちらを参照して欲しい。)
(*6 複数の実話をもとに再構成した架空のストーリーなので、ここで出てくる「初音ミクのコスプレをした可愛い女の子」はただの筆者の趣味。ちなみに、堀北真希似という設定(←どうでもいい。)
(*7 見せパンとは、下着の上に重ね着する「見えても大丈夫」なホットパンツのこと。)
(*8 余談だが、駒都えーじ氏の作風であるような「下着は身に着けているけど角度的に見えてないだけ(ぱんつはいてない)」という具合を、(一般的なパンチラ対策をした)コスプレ撮影で再現するのは不可能に近い。というかそんなフェチ撮影をするなら実際に何も穿かないでやった方が早い。コミケ3日目の男性向けコスプレ写真集ジャンルではそういうものがたくさん頒布されている。)
(*9 ミクシィでマイミク登録すると、モデルが日記などに出演スケジュールを書いてくれることもある。また、知り合いだけのシークレット撮影会のお知らせが個人的に来ることも。一泊二日温泉付きの遠征撮影会などのお誘いが来ようものなら悶絶すること請け合いだ。)
(*10 セクハラではないが、不意打ち撮影・長時間拘束する撮影・ポーズなどのしつこい要求・謝礼のバックレ・ネットへの無断アップロードなど、女の子への迷惑行為やマナー違反はたくさんある。)
(*11 体操座り&スカートたくし上げ。それなんてエロゲ…っていうか、リアルでやっちゃイカンよ。)
(*12 被害者の女の子たちもコスプレ姿のままパトカーで警察に行かされたらしい。事情聴取で被害を遭ったときの服装を撮影されるのだとか。なんともはや。)
(*13 撮影会やイベントが終わった後も女の子のそばを離れず、帰りが同じ方向だからと一緒について行こうとする人、いるよね。尾行を撒くためにわざわざ反対方向の電車に乗る女の子もいるそうな。)
(*14 センスの微妙な(カメラ小僧本人が撮りたい組み合わせの)私服を用意して着させ、揚げ句には「私服」という紹介付きで自分のウェブサイトに掲載した例も。いやいやいや、それ女の子本人が自分で選んだ服じゃないから。そんな微妙なセンスの持ち主扱いにされたら羞恥プレイだから。)
(*15 なかには「僕が撮った写真をいつでも確認できるように」とネットブックとイーモバイルのセットを貰ったという話も。だが貰った女の子は、仕込みウィルスや盗聴などが怖くて結局男友達にあげちゃったそうだ。)
(*16 お酌、酔った顔の撮影、衣服や身体に触るちょっかい、エッチな話、親しい仲ならアリなんだろうけど、どこまでOKかは人それぞれ。)
(*17 カメラ小僧の中には、コミュニケーション能力に長けたリリー・フランキーみたいな面白いオッサンもいる。そういう人は大抵撮影の腕も高い。)
(*18 コスプレイベントではブラックリストに加えて出入り禁止にすることもある。また撮影会の世界でも「撮影会主催者連絡会」などがあり、非常識なカメラ小僧の情報共有などが行われている。)
(*19 周りの人間にとっては、女の子の話だけを聞く限り過失か故意か判断のつかないものもあれば、当事者同士だけで勝手にやってくれ的なしょうもないレベルの痴話喧嘩もある。)
(*20 撮影会モデルやコスプレイヤーについて、悪意を持って2chにあることないことを書かれるのは日常茶飯事。しかも多くの人にとっては実際に本人や本人を知る人に直接真相を確かめるのも困難だ。よく2chを閲覧する人に向けての言葉として「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい。」という有名なフレーズがある。しかし2chに書かれるような「その道の世界では有名だとしても一般的には無名な人」に向けて言い換えるなら、「多くの人はうそをうそと見抜いてくれないので、(悪意ある書き込みに対抗するのは)難しい。」となる。一般的に2chで悪い噂を流布されたら多くの場合諦めるしかない。)
(*21 ほとぼりが冷めた頃、名前を変えて復帰したりする。)
(*22 撮影会を主催している人、モデルに個人的な撮影をしつこく依頼する人、など)
(*23 後々良識ある人から「あれはセクハラだよ」と注意されるケースも。筆者にだって黒歴史の一つや二つありますよ。ええ。)

■Chapter.3 裏話 壁に向かって話しかけていることに気が付かない人たち

男「こっちを向いておくれよ。君のことが大好きで、朝から晩までずっと君のことばかり考えてるんだ」
女「あなたと同じ気持ちよ。あたしもあたしのことが大好きで、朝から晩まで自分のことばかり考えてるわ」(*24)
□カメラ小僧の恋が実らない理由
 まず結論から。

質問「カメラ小僧が撮影会モデルの女の子に熱烈アタックするとどうなりますか?」
回答「とある理由により、ほぼ100%玉砕します。死に急ぐのは止めた方が無難でしょう。」

質問「撮影会モデルの女の子がカメラ小僧に熱烈アタックするとどうなりますか?」
回答「同じ理由により、ほぼ100%無視されます。死にはしませんが時間の無駄でしょう。」

 今度はセクハラではなく、頑張って恋愛アプローチをしている人たちの話だ。毎週のように撮影会があり、あちこちでモデルの女の子とカメラ小僧が撮影で向き合っている。なかには親しい間柄となる男女のカップルができても不思議ではない…と通常考えるだろう。
 しかし、実際のところはカメラ小僧と撮影会モデルとで「ワタシタチ、ツキアウコトニナリマシタ」という話を一度も聞いたことがない。(*25)「アイツラこっそり付き合ってるらしいぞ」というゴシップすら流れることはないようだ。(*26)ここではその撮影会コミュニティにおいて「恋愛アプローチをしているが実を結ばない人たち」にスポットを当てて話を進めていこう。
 はっきり言ってしまうと、カメラ小僧が撮影会モデルの女の子に恋心を抱き、あるいは単にナンパして個人的なデートでも、という意図でアプローチするとほぼ確実に玉砕する。本人にとっては正攻法でのアプローチが何故上手くいかないのか不思議に思うことがあるかも知れない。この構造を理解するために、まずはその背景を解説する必要がある。

 初めに、撮影モデルをするような女性はどういう人物であろうか。コスプレをしていないから普通の女の子?いやいや、普通ではないでしょう。全員写真を撮りたくなるような美しい女性じゃないですか。しかも笑顔で撮影に応じてくれる愛想のいい女の子。これ、明らかに魅力ある人だけで構成されてますよね。そう、撮影会で出演するモデルはほぼ例外なく、事前に「容姿レベルが高く愛想の良い人」だけが面接などでピックアップされている。まぁ、撮影会も参加者が集まらなければ運営が成り立たないので、魅力的な出演モデルのラインナップを揃えるのは自然なことだ。
 さて、美しいとされる女の子は一般的にどのような人生を送るか想像してみよう。本人が自覚する自覚しないに関係なく、幼少の頃から「可愛い女の子」として人目を惹くことになる。恐らく当時の本人にとっては無邪気に「みんな私のことを注目する」
「惹かれて声を掛けてくる人がたくさんいる」という現象が当たり前のこととして認識するだろう。そして思春期になるにしたがって「私に交際を申し込んでくる人が大勢いる」ということも日常となる。(*27)

 普通に考えれば当たり前の話なのだが、恋愛市場において魅力的な女性は最初から倍率が高いのだ。恋愛アプローチは中高生の頃から引っ切りなしに受けただろう。そしてそれは現在進行形だ。人によっては実際に彼氏がいる女の子もいるだろう。
 ここで、彼氏がいる・いないの話は一度置いておくとして、女の子が告白を受けまくる(=男性にモテまくる)という経験を重ねるとどうなるだろうか。「YES」と回答する回数よりも「NO」と回答する回数の方がずっと多くなる。それに加えて告白を「NO」と回答された男性がその後どう感じどう行動するかも経験則的に理解するようになる。そうすると恋愛アプローチで面倒なことにならないように事前に手を打つことが出来るようになる。つまり、恋愛に対してどんどん経験値が上がっていくのだ。平たく言えば「興味のない男性からのアプローチは、問題が拗れないようにあしらう」ことが可能となる。つまり撮影会のモデルとなるような女性は恋愛に対して百戦錬磨なのだ。ドラクエでいうところのレベル99の戦士である。

 一方、そんな彼女らが撮影会に来るのは(詳しくはそれぞれの理由があるだろうけれど)モデル活動をしたいがためである。仲のいい人たちと集まり、いろいろな衣装(私服やコスプレ衣装)を着て、いろいろな景色のところに行き、自分の写真を撮ってもらい(程よく注目を浴び)、同じ趣味の人たち(彼女らも多くがオタクだ)とおしゃべりをするということを通して、サークル活動を楽しむことが目的だ。そんな場所で恋愛対象として見ていないカメラ小僧からアプローチを受けたら「ウザい」以外の何ものでもないだろう。誰かと付き合えばサークルの関係がギクシャクするだろうし、第一そこに彼氏候補を見付けるために来ているのではない。
 また、カメラ小僧の多くは幼少時代をオタクとして男性のみのコミュニティで過ごし、恋愛経験が乏しいという男性の割合も多い。(*28)哀しい哉、ドラクエでいえばレベルが1とか2とか3とか4とか5の程度である。スライムやドラキーごとき雑魚がレベル99の戦士に立ち向かう事自体、勇者を超えて無謀と言える。ホイミが使えても意味を成さないだろう。カメラ小僧からの恋愛アプローチは、構造上バッドエンドが約束されているのである。
□カメラ小僧が恋をしない理由
 …さて、では本題に入ろうか(何。Chapter冒頭の問答にある通り、この恋愛アプローチは性別を逆に置き換えても成立してしまう。いや、その前に読者は「モデルの女の子からカメラ小僧なんぞにアプローチなんてあるの?」という疑問を抱くかも知れない。まずはその回答をするところから入ろう。
 ここだけの話、実はモデルの女の子からカメラ小僧に恋愛アプローチをしてくる──つまり女の子からカメラ小僧の彼女の座を射止めようと行動してくる──というパターンもある。一見羨ましいシチュエーションに見えるかも知れないが、実際のところその女の子の努力は、男性側によってことごとく無視されている。いったい何が起きているのだろうか?
 先ほど「カメラ小僧には恋愛経験が乏しいという男性の割合が多い」と書いた。これ自体は筆者の知る限り紛れもない事実なのだが、その残りの割合はそれなりに経験があり、女性への気配りやもてなす術に長けている男性もいるということにもなる。つまり女の子のアプローチしている相手はこの部分の層となる。
 さらに男性像を分析してみよう。文章で羅列するよりもQ&Aの方がイメージをつかみやすいかも知れない。

「カメラ小僧とはどのような人物であろうか?」
→カメラ小僧は定義上みな例外なくカメラを持っている。

「どのようなカメラか?」
→写真を趣味とする以上、専門的に撮影出来るデジタル一眼レフなどのカメラだ。もちろんカメラ本体だけでなくレンズも必要となる。撮りたい構図によって必要なレンズも多岐にわたるかも知れない。

「それらの機材は高い?」
→もちろん高いだろう。数十万なんて当たり前だ。レンズシステムを一通り揃えれば軽く百万円を超える。(*29)

「そんなに高い機材ならみんな持ってるのは1個か2個で、そんなに多くの機材は持てないよね?」
→……いや、みんな何台もカメラを持ってるし、みんな何本もレンズを持っている。

「カメラ小僧はみんな無理して撮影機材を揃えているの?」
→……ここでようやく「一概に言えない」という答えになる。カメラ小僧には「アルバイトで工面しているようなお金のない学生」もいれば、「余裕で買える富裕層で独身の社会人」もいる。

 だいたいここで答えが出ただろうか。女性ポートレートを自由に撮ることが許されるのはお金も時間も自由に使える独身だ。そして高価な撮影機材を揃える経済力を持っているのは30代前後以降の社会人である。ここに先ほどの「恋愛偏差値」という別の物差しをマトリクスに並べると、「女性への気配りやもてなす術に長けており、富裕層で独身の男性」という女性にとって非常に無視のし難い存在が登場する。意識的だろうが無意識的だろうが、彼らに対してアプローチに動いてしまうのは自然なことだろう。(*30)

 しかーし、先ほどと同じようにそのカメラ小僧たちも撮影会には「撮影」に来ているのであって、「恋愛相手を作る」ために来ているのではない。そもそもそのようなハイレベルカメラ小僧にとって、彼らのステータス上女性と付き合うことは超が付くほどカンタンなのである。その状況で敢えて「彼女を作ること」よりも「女の子を撮影し、サークル活動を楽しむ」という余暇の楽しみ方を選んでいる。大体にして、多くのカメラ小僧が恋愛アプローチを諦めている状況で下手に女の子からの積極アプローチを喰らうと、むしろ男性同士で嫉妬が渦巻いてしまい周りからの白い目が痛く突き刺さるという具合だ。(*31)撮影会内の良好な人間関係のためにも無視するに限る。
 ドラクエでいえばレベル999でいつでもラスボスを一発で倒せるにも拘わらず、「こっちの方が面白いから」とずっとカジノで遊んでいる状態だ。レベル99の戦士が「パーティを組んでラスボスを倒しに行きましょう」と話しかけてきても眼中にない。むしろレベル1か2か3か4か5の初心者と一緒にラスボス無視の気ままな旅に出る始末だ。
 このような訳で男女で恋愛スキルに格差が有り過ぎるために、恋愛モードで行動している人たちは常に翻弄される運命にある。恋人を作りたいときはこんなところではなく、もっと勝算のあるところで戦略を立てよう。いのちだいじに。(*32)

(*24 安野モヨコ『ラブマスターX』(1998年)の一節をもじったもの。この頃の安野モヨコは神懸かっていた。)
(*25 聞きたくもないが。)
(*26 もちろん実際にはこっそり交際しているカップルが存在する可能性は否定しない。いや、恐らくはカップルがいるのだろう。どうもみんなこの手の話となると言葉を濁す。)
(*27 複数の知り合いのモデルさんから、よく「告白された回数なんて多過ぎて数えきれないよ」という話を聞いた。筆者にとっては未知の世界である。)
(*28「カメラ小僧の恋愛経験不足傾向」についても、前著「カメラ小僧の裏話」の中の「カメラ小僧という人種〜傾向と対策〜」で詳細に書いた。そちらを参照して欲しい。)
(*29 例えばヨドバシカメラで最高画質のデジタル一眼レフカメラ、広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズを一通り揃えようとすると、ニコンD3x(898,000円)、AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G ED(228,400円)、AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED(218,400円)、AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(267,700円)となり、締めて1,612,500円となる。が、これらを揃えているカメラ小僧を筆者は複数知っている。さらにマニアックな方向に進めば、キヤノンEOS-1D Mark IVにツァイスのディスタゴンやらライカのマウントアダプタを付けて…と軽く数百万単位の底無し沼に突入。)
(*30 カメラ小僧の中でモテる人、というよりも、最初からモテる男性が何故かオタクの世界に入り込み、何故かカメラ小僧を始めた、という方が正しい。)
(*31 まぁ、明らかに一人のカメラマンだけサービス精神旺盛だったり心を開いていたりされると、「モデルは撮影会メンバー全体での共有財産」としている男性陣からすれば白けるでしょうねぇ…。女性陣からも同じように白けるのかしら。さすがに聞いたことはないけれど。)
(*32 ついでに「わかさだいじに」。ぎゃー。)

■Chapter.4 裏話 付き合ってはいないけど、いつも一緒の男女二人組──グレーゾーン関係

「ボクだけ…だよね?ボクだけに…心を開いてくれるんだよね…?」
「──独占欲は持たない方が幸せだよ」
「えっ…?」
「嫉妬を生むだけだもの」(*33)
□本当に仲がいいのに、何故か友達以上、恋人未満の状態が継続する不思議
 前Chapterのように恋愛アプローチは上手くいかないパターンが非常に多いとして、一方で女の子との付き合いが上手くいっているように見えるカメラ小僧と女の子の二人組を見かけることがある。よくあるのはコミケのコスプレ広場やコスプレイベントなどでコスプレイヤーのマネージャー的な役回りをするカメラ小僧というパターン。移動中に女の子の荷物を持ってあげたり、他のカメラ小僧たちに撮影で囲まれているときに荷物の見張り番をしたり、断り下手な女の子の代わりに撮影待ちの行列を切ったり(*34)と、何かとナイト役を買って出るカメラ小僧とそれを頼りにする女の子という具合だ。そのくせ帰りは現地で別れたり、お互いも撮影以上のことは特に求めたりしない。はてさて、一見親しいけれど微妙な距離感。このグレーな雰囲気は何なのだろうか?

 まず今までの構図をもう一度整理してみよう。自分の欲求をそのまま行動に移すと多くの場合それはセクハラなどの迷惑行為となる。また正当なプロセスで恋愛のアプローチを試みても、撮影コミュニティの中では構造的に上手くいかない。となるとカメラ小僧とモデルやコスプレイヤーの女の子と親しくなったところで、必然的に恋愛の一歩手前状態──親しくなってもそれ以上は進展しないグレーな関係──で落ち着くこととなる。カメラ小僧や撮影会モデル、コスプレイヤーの空間において、男女間でコミュニケーションを重ね親密になることでたどり着ける最高の形態がこのグレー関係といえる。そして多くの場合このような関係性では、何も進展することのないまま長期的な時間(*35)が経過するようだ。
 さて、この一般的にはあまり見かけないこの関係性、男女ともそれぞれどのように感じているのか想像出来るだろうか。「この関係は居心地が良いので続けたい」だろうか?それとも「居心地が悪いので何らかの変化を望んでいる」だろうか?そもそも本当にお互い仲の良い相手だと考えているだろうか?いやそれ以前に両者で同じ考え、同じ気持ちを共有しているといえるのだろうか?実のところ、そのグレーの中身を確認したりはしていないはずだ。(*36)一見仲が良さそうに見えても、カメラ小僧と女の子の間では意識のズレがあり、それを敢えて見ないようにしてこの状態を作り上げているともいえる。ではここで、本音ではどう考えているのか彼らの心の中を覗いてみよう。
 カメラ小僧がオーソドックスに感情ベースで好意を寄せている場合は簡単だ。写真撮影を通してあの女の子とお近づきになりたい。そのための気配りは惜しまないし、(*37)女の子から頼られれば喜んで引き受ける。ただセクハラは論外だし、恋愛アプローチをすると上手くいかないこともよく理解しているので、この関係が続くことを望んでいる。いや、ただ単に勇気がなくてアプローチができないから逆説的に仲の良い関係が続いているのかもしれない。
 同様に女の子側も感情ベースで好意を抱いているケースもあるだろう。ただ多くの場合、相手を恋愛対象というよりも親しい男友達として見ており、この関係であることに何も疑問を感じないのだろう。友達としてカメラ小僧がいろいろしてくれる以上は、こちらからも親しい友達として同じようにお返しをする。撮りたい写真があれば協力するし、コスプレの要望があれば「しょーがないなぁ」と苦笑しつつ応えようとする。(*38)女の子にとって仲の良いカメラ小僧は「写真が欲しいときに安心してお願いできるカメラマンさん」として信頼できる存在であり、それ以上でもそれ以下でもないというケースが考えられる。
□「仲良くなりたい」と「仲良くしておきたい」の二つの本音
 さてさて、綺麗事ばかり書いていてそろそろ反吐が出そうなので、その反吐をこのページに吐き出してしまおう。感情ベースで好意があるだけなら「好ーきーとーかー嫌ーいーとーかーどーでもいーでしょー」と藤崎詩織が歌うまでもなくお前ら勝手にやってろ的な話(*39)なのだが、それ以外の理由──何らかのメリットがあるからこそ「仲良くしておきたい」という場合がある。というか、こちらの方が多い。
 カメラ小僧活動は撮らせてくれるモデルやコスプレイヤーの女の子がいて初めて成立する。カメラ小僧なら誰でも「撮らせてくれる女の子」は重宝するだろう。もちろん撮影会やコスプレイベントに行けばそのような女の子に出会うことは出来る。だがそのようなインフラよりも相手とどのくらい心理的な距離感が近いかの方が実際にはとても重要だ。初対面よりも知り合いの方が撮りやすく、ポーズなどのお願いもしやすい。親しくなれば一対一の個人撮影なども応じてもらえるようになる。コスプレイヤーなら撮影希望の衣装の融通も聞いてもらえるかもしれない。(*40)つまり恋愛対象かどうかはともかく、より良い撮影のために撮影対象と親しい関係になっておくことはそのこと自体メリットなのだ。となればそのためのコストは惜しむはずがない。撮りたい女の子から頼られるようなことがあれば引き受けるし、ゴハンも連れていくし、車も出すし、必要なものは喜んで支援する。(*41)すべてはより良い撮影のために、つまるところそれがカメラ小僧の女の子に対する行動原理だ。気分が良くなって鼻の下が伸びるのはあくまで副次的な要素に過ぎない。

 一方女の子の方の「仲良くしておくと都合が良いこと」を考えると、(あまり書きたくはないが)かなり即物的なメリットの列挙となってしまうことに気付く。

・写真をタダで撮ってくれる(写真はウェブサイトや写真集に使える。写真集自体をカメラ小僧が作ってくれることも)
・差し入れや、代わりに重い荷物を持ってくれるなど、いろいろ気配りをしてくれる
・自分の出演する撮影会に参加してくれる(参加費を支払ってくれる。それは最終的にギャラとして自分に入る。)
・打ち上げなどではタダでゴハンを食べさせてくれる
・車で目的地まで送迎してくれる(送り狼のような心配もあまりする必要
はない)
・必要なコスプレ衣装などを買ってくれる
・誕生日やクリスマスなどのイベント時にはプレゼントをくれる

このようにすべては親しくなったカメラ小僧がいろいろしてくれる。そして恋愛関係ではないので、恋人であれば当然求められるであろう「カノジョとしてのすべきこと(付き合いの制限や性的関係)」を負う必要もない。キスもハグもセクロスフロンティア(*42)もすることなくメッシー・アッシー・ミツグくん(*43)を確保できる。良いとこ取りで楽チンだ。
 悪意のある書き方と感じられるかもしれないが、「そう考えている女の子が存在する」ということではなく、「あくまで状況を考えるとこのようなメリットが事実として存在する」、ということだ。メリットを目当てに打算で行動している女の子もいれば、無意識的にそのような状況となっている女の子もいるだろう。(*44)

 カメラ小僧はこのことについてどう考えているだろうか。無論この事実に気が付いていない訳ではない。見方によっては親しいカメラ小僧はお金を出してくれる金づるであり、世話をしてくれる付き人であり、顕示欲を満たしてくれるファンである。だが……、感情ベースで行動している訳ではない多くのカメラ小僧にとって、そこらへんのことについては特に気にしていない。というか無関心に近い。何度も書くがカメラ小僧は「撮影がしたい」のである。円滑に撮影が進むのであれば、それらは当然支払うべき手間とコストだと考えている。どちらの立場が上かということは別にどうでもいい。お金を出すといっても、社会人のカメラ小僧には10代後半から20代前半の女の子の要求する金額なんてタカが知れている。打ち上げや必要経費の支出など屁でもないのだ。それで女の子が喜んでくれて、撮影するときに笑顔になってくれるなら安いものだ。(*45)

 というわけで、仲の良い男女のグレー関係の中には「仲良くなりたい」と「仲良くしておきたい」の二つの本音がある。「好意の感情」+「ある種の打算」によるWin-Win関係だ。感情だけで繋がっている微笑ましいものもあれば、(意識するしないに関係なく)打算だけで繋がっている関係もあろう。また多くは両方の要素を兼ね備えたまさにグレーな関係だ。そして打算がある以上、そこにメリットがあり続ける限り関係も長期的に継続することとなる。持ちつ持たれつだ。
 だがそれは逆に言えば、どちらかがメリットと感じなくなったり、意識のすれ違いが起これば簡単に切れることも意味している。恋愛とは違い、情の繋がりは恋人同士のそれと比べて脆い。特に片方が感情のみ、片方が打算のみでの組み合わせの場合は最悪だ。カメラ小僧は女の子と特に親しい仲と感じていても、女の子側は良くしてくれる他のカメラ小僧とも同じように接する。二人は付き合ってるわけではないので女の子が誰に対しても愛想が良いのは当たり前といえば当たり前なのだが、やはりカメラ小僧には「面白くない」という感情が生まれてくる。この関係に甘んじる以上はそれを表に出せる権利はなく、心の奥で嫉妬心を殺し続けなければならない。次第に普通ではいられなくなる。(*46)また逆に女の子が自分で撮影会を企画した(もちろん参加費を集める)ときに、特に親しいカメラ小僧にお誘いを出したにも拘わらず当日他の女の子のところに撮影に行っていたら、何も文句が言える立場ではないことは頭で理解していても「あっちに取られた」という気分になるのではないだろうか。(*47)

 カメラ小僧活動を長く続けていると、そのようなグレーなカップルをよく見かける。会うたびにいつも一緒で仲が良いのは大変よろしいのだが、あるときを境にそれぞれバラバラに活動するようになっていることもある。恐らく二人の間に何らかのトラブルがあったのだろうと邪推はするものの、大抵は腫れ物に触る心境であり誰も「いつものパートナーはどうしたの?」と聞くようなことはしない。特に女の子の方は「パートナーなど最初から存在しなかった」と言わんばかりのオーラを放つことがある。まぁ二人の間の具体的な話を聞きたければ、話したがってる方をとっ捕まえて新宿3丁目あたりの居酒屋で2〜3人程度で囲めばよろしい。きっと良い酒の肴になるはずだ。(*48)

(*33 筆者の体験談とかではありません。ええ断じて。)
(*34 カメラ小僧以外にはどうでもいい話かも知れないが、コミケのコスプレ広場とその他のコスプレイベントでは撮影の形態が全く違う。人気のコスプレイヤーを撮影する場合、事前に声を掛けて承諾を得るまでは同じだが、コミケでは人が多過ぎるため扇型に横に並び同時に撮影する。だがコミケ以外のコスプレイベントでは横並び撮影はご法度で、一列に並んで一人ずつ撮影する。コミケではものの数十秒で撮影を終わらせなければならないが、コスプレイベントでは一人当たり5〜8分程度みなみっちり撮影していく。これはコスプレイヤー側も了解済みの撮影時間のようだ。ただこれは待ち行列に10人ほど並ぶと約1時間ぶっ続けで撮影となることも意味している。休憩や撤収する場合はどこかで待ち行列を切らなければならず、新たに並びに来るカメラ小僧に「すみません打ち止めです」と断りを入れなければならない。撮影中のコスプレイヤーの代わりに列切りをしてくれる人がいてくれると非常に心強いようだ。)
(*35 例えば2〜3年とか。恋人同士になってから2〜3年ならともかく、いつも二人一緒なのに3年経ってもグレーな関係が維持されていたりする。通常なら付き合い始めるかダメになるかの結論が出ているよね。)
(*36 まぁ告白のプロセスがなければ、お互い「私たち、付き合ってるんだよね?」と確認でもしない限りグレーな関係は続く。というか、確認してないからグレーゾーン関係なのだが。)
(*37 お願いされればもちろん引き受けるし、先回りして気配りすることも大事。重い荷物を持ってあげるとか、日陰を作ってあげるとか。でも距離感の勘違いは気を付けよう。「気を付けよう」と言ったところで、気が付く人は言われなくても気が付くし、気が付かない人は言われても気が付かないのだが。)
(*38 この「しょーがないなぁ」+苦笑顔はポイント高し。なんだかんだ言って要望を聞き入れてくれるなんて惚れてまうやろー。)
(*39 面倒くさいからお前ら付き合っちゃえよ。)
(*40 まだ知り合いレベルの女の子に、水着撮影をしたいとはなかなか頼めないもの。一方フェチ撮影で女の子と意気投合すると、大胆な着エロ撮影もOKが出てしまったりする。それはもうカメラ小僧の方が驚くくらい。ええーい、いくら理解があるからといって撮影開始15分で恥じらいもなく全部脱ぐんじゃなーい!)
(*41 筆者も一度きりの撮影のためだけに数万のコスプレ衣装をポンと買ってしまったことがある。ええ、ものすごく脇巫女霊夢が撮りたかったのですよ。一片の悔い無し。)
(*42 この度日本物産(ニチブツ)からファミリーコンピュータ用シューティングゲーム「セクロス」の続編に当たる「セクロスフロンティア」が発表され…いや、ウソです。)
(*43 もはや死語なので一応解説。メッシー…ゴハンを奢ってくれるメシ専用の男。アッシー…電話一本で送迎してくれるタクシー男。ミツグくん…欲しいものを買ってくれる財布担当の男。バブル全盛期は実質「一妻多夫」制度だった。※ただし若い美女に限る。)
(*44 男女の交流では基本的に男から女にお金が流れる。既に親密な関係で男性がイケメンだったり貧乏だったりすればこの限りではないが、「男性が気前の良い所を見せて、女性の気を惹く」というのは、双方が安心できるロールプレイング(役割演技)だからだ。ここらへんは女の子側が金銭的なメリットを受け取ることに「申し訳ない」と考えているか「当然だ」と考えているかの意識の問題である。また余談だが、この習慣は女性が圧倒的に経済的な弱者だった頃の名残という話もある。男女で収入格差が消え、むしろ不況などで収入が逆転することもあり得る現代では次第に考え方が変わりつつある。)
(*45 やや煽り気味な書き方となってしまったが、10代後半から20代前半と言えばまだ学生が殆どだろう。学生の金銭感覚と社会人の金銭感覚とでは差があるのは当然ともいえる。別に何十万もするブランド物のバッグやアクセサリを買い与えるわけではない。差し入れのお菓子やファミレス代、居酒屋代、ちょっとしたお土産や記念日のプレゼントくらい、気前よく出せる範囲である。かといってこれを読んで「貰って当然」と思われてしまっても困るのだけど…。)
(*46 まぁ、この程度で振り回されるくらいなら一度地獄に堕ちた方がいい。)
(*47 ハウススタジオなどを借りていればお金も絡んでくるので、参加者が集まらないと胃がキリキリするだろう。なお、撮影会主催者はいつも胃がキリキリしている。)
(*48 ついでに言えばこのようなケースはあちこちで存在し、そして「この二人は過去にトラブったから鉢合わせさせちゃダメ」みたいなタブーに昇華することもある。それを知らなかったばかりに第三者が地雷を踏んで何故か巻き添えを喰らうことも…。情報収集のためにも居酒屋に誘っておこう。)

■Chapter.5 裏話 二人が結ばれるとき──ハッピーエンドの条件は?

亜麻音「ゆうぽんさんはやっぱり、私の最高のお友達ですね!お見合いはまだ断りませんけど、これからも(お店に来て)いろいろと相談にのってくださいね(はぁと)」

──その後しばらくして、亜麻音ちゃんはその見合い相手と結婚したのだった。(*49)

 頭のメルヘンな人がこれ以上増えないためにも、最初に淡い期待を潰しておくとしよう。今までの経緯からするとカメラ小僧、撮影会モデル、コスプレイヤーなど、この界隈で出会いを求めている人間は構造上絶対に結婚出来ない。恋人すら作ることは出来ないだろう。いい加減現実から目を背けるんだ!いいか、人生に期待するな。俺達にはラブプラスしかないんだ。(*50)
 …とはいっても、実際には筆者の身の回りでも、撮影会のモデルやコスプレイヤーをしていた知り合いが結婚した例がないわけではない。(*51)またカメラ小僧の中にも結婚して所帯を持っている方もいる。撮影した後で相手が子持ちのママレイヤーだった──なんてこともある。さて、結婚するような人たちはどのような出会いを果たしたのだろうか?

 恋人を作ったり、結婚したりというパターンは、その前に必ずといっていいほど特徴的な兆候がある。顔を出さなくなるのだ。つまり仲間の集まりに来なくなる。あいつどうしたのかなーとみんなで話をしていると、「カノジョが出来ました」「ケッコンしました」みたいな殺傷能力の高い報告をしてくる。ちょwwwおまwww何勝手にしけこんでんだよ!誰が許可なくイッてよいと言った!?(*52)という具合だ。男だろうが女だろうが、結ばれるような人間はみなコスプレイベントや撮影会の最前線から一度姿を消している。結婚してからも稀に遊びに来ることはあるが、基本的には引退かフェードアウトだ。
 恋人が出来たから引退、結婚してから忙しくてフェードアウト、という意味ではなく、そのずっと前の段階から足を洗っている。カメラ小僧をとっくの昔に止めてから、撮影会モデルをとっくの昔に止めてから、コスプレ活動をとっくの昔に止めてから出会った人と、それぞれ結ばれている。あるいは撮影会やコスプレイベントの活動を平行して続けつつ、その人間関係とは別のところで出会った人と結ばれていることもある。相手はさまざまだ。学生時代の同級生、仕事の同僚、お見合い…etc.言えることは、すべて撮影活動やコスプレ活動の外側の人間関係だということである。どうやら中の人同士で結ばれることはないようだ。

 では視点を変えて、結婚してしまうようなカメラ小僧はどのような男性か考えてみよう。撮影会では、男性は撮影者、女性はモデルという役割があり、みなその役割に基づいて行動している。和気あいあいとしつつも、撮影者が参加費を支払い、モデルはそのギャラを受け取る。みな自分の選んだ(割り振られた)役割を演じ、また撮影会システムが上手く機能するようにそこでのルール(お金の動きなど)を全員が遵守する。そうすることでみなが安心して撮影ができるからだ。だが、敢えてその枠組みと役割演技に異を唱える人が出てくる。

「仲の良い友達同士だったら、そんなビジネスライクなお金の受け渡しなんかしないよね?」

 確かに友達で集まって遊ぶなら誰かがお金を出して、誰かが受け取るなんてことはあり得ない。そこで「お金を支払ってサービスを受けとる撮影者」と「お金を受け取ってサービスを提供するモデル」という役割演技を壊して「友達同士」あるいは「男」と「女」という視点で相手を見ようとする。もちろん撮影会の中で参加費支払いを拒否するという意味ではなく、自分は「カメラ小僧である前に一人の男性」として振る舞い、撮る相手を「モデルである前に一人の女性」として接するということだ。(*53)
 これをやられると、モデル側も否応無しに「自分が女である」ということを意識させられてしまうらしい。そして、目の前のカメラ小僧を男としてしか見ることが出来なくなる。オタクで安全パイばかりのカメラ小僧の中に、なんでこんな強烈に男を意識させる危険なヤツがいるんじゃい。てなもんである。あとは半オートだ。

終業式の放課後に男友達だけで遊びに行ったカラオケボックス。
トイレに立ったら同級生の女の子が廊下でつまらなそうに一人で休んでいる。
男「あれ?来てたの?」
女「うん、クラスの友達と。君は?」
男「俺もだよ。でもカラオケって苦手でさ…」
女「そっか、実は私もニガテ〜(苦笑。ここで休んでた」
男「あははっ、じゃ同じだな」
女「人前で歌うのって照れ臭いよね〜」
男「………じゃ、二人でこっそり抜け出すってどうよ?」
女「えっ、だって友達は?」
男「君とフケる方が楽しいじゃん」

 なんだかんだいって、役割演技の枠組みを壊す危険な誘いは実に魅力的だ。(*54)こうしてまた一組の男女が舞台から消えて行く。そしてもう戻ってこない。

 カメラ小僧は女の子をどう見ているか──あくまで被写体か?いや友達か?それとも一人の女性か?──これによって女の子側の取る態度が変わってくる。ほぼすべてのカメラ小僧は女の子を被写体としてしか見ていない。撮影にしか興味のないカメラ小僧は敢えてそのような接し方をしており、女の子と親しくなっているカメラ小僧とて「撮影者」「被写体」の枠組みを超えた接し方をしていない。もともと役割演技のゲタを履いて初めて女の子と交流ができるようになった人たちの集まりだ。コミュニケーションスキルが低過ぎて出来ないと言った方が正しいかも知れない。
 そういう訳でカメラ小僧が結ばれるには、まずカメラ小僧という役割演技ではない形で女性と接しなければならない。では女の子の場合はどうだろう。基本的にみんな容姿端麗で愛想も良いのだからモデルやコスプレの枠組みから離れて男女の出会いを模索すれば、相手を見付けることはそんなに難しい話ではなさそうなのだが、みな何故かこのオタク界隈から離れようとしない。はてな?どうやら女の子にとっても、この世界に留まることは恋人を見付けること以上に価値のある何かが存在するらしい。やはりここは女性版ラブプラスも必要なのかっ!?(*55)

(*49 ドリームクラブの亜麻音ちゃん役の声優は、狼と香辛料の賢狼ホロ役でも有名な小清水亜美さんである。さぁ、今すぐ彼女の声で脳内再生するんだ。わっちわっち。)
(*50 だからコナミはさっさとクイズマジックアカデミー版ラブプラスを発売すべき。そもそも最初のDS版マジアカはタッチスクリーンにも拘わらず何故リエルにパイタッチが出来ないんだ。)
(*51 披露宴二次会の招待を受けたこともある。披露宴のはずなのに参加者のコスプレがOKだった。)
(*52 もちろん「結婚は人生の墓場」的な意味で。)
(*53 いわゆる「女の子撮影会」や「コスプレイベント」の外側でカメラ小僧をやっている人間──普段から街を歩く人に声を掛けてスナップを撮っているようなタフなカメラマン──が稀に撮影会にやってきたりするとこのような事が起こる。)
(*54「二人でこっそりイケナイことをしよう」という言葉にはある種の魔力が秘められている。背徳的で危険な香りのする遊び自体非日常的な刺激があるということと、加えてその秘密を共有して二人だけの記憶を作るということがそれだけ魅力的に映るのである。気になる異性からの誘いであればそうそう断れない。)
(*55 だからイケメンキャラも揃っているクイズマジックアカデミー版ラブプラスを発売すべき。男性にも女性にも需要がある。早くシャロンとポッキーゲームがしたいよおおお。いろいろと違う気がするけど気にしない。)

■Chapter.6 考察 男女関係のドロドロ力学と人間関係崩壊理論

 Chapter.2からChapter.5にかけて撮影コミュニティにおける男女関係の悲喜こもごもを見てきたが、どのように感じられただろうか。よくある普通の恋愛失敗談というよりも、あまり一般には見かけない特異な事例ばかりだと思ったかも知れない。コスプレ・撮影活動という特性を抜いて考えても、大学のような一般的なサークル活動では起こりえないような事がここでは起こっている。このChapterでは今まで見てきた裏話をもとに、サークル活動と男女関係の全体像をもう一度整理してみよう。

 まず、大学などで作られる「サークル」とは何であろうか。日本語に言い換えれば同好会、つまり「同じ趣味を持った人たちで集まる交流と活動の場」である。撮影を行うカメラ小僧や、コスプレを楽しむコスプレイヤー、撮影会で活躍するモデルたちは、大学のキャンパスのように任意のサークルに所属して活動しているわけではないのでここでは「撮影コミュニティ」という言い方をしているが、本質は大学サークルと同じだ。
 サークル活動を行う場合は、まず同じ趣味の人間を集めてグループを結成するところから始まる。サッカーをしたければキャンパス内でサッカーのしたい人間を集めてサークルを作り、サークルとして運動場を借りたり試合に出たりする。大学などの母集団の男女比や特異な趣味によっては、男性のみ、女性のみのサークルも存在するだろうが、(*56)多くの場合サークルは男女混合で形成される。
 この「男女混合での同じ趣味の交流の場」というものは実に曲者で、本来の趣味の活動よりもサークルのなかで異性と親しくなることに夢中になる人たちが出てくる。交流の場なのだからカップルが出来ること自体は悪いことではないのだが、「仲間と趣味の活動を行う」はあくまで建前であり、本音では「クリスマスを二人きりで過ごす彼氏探し、彼女探しの戦場」とサークルの性質が変化してくるのだ。本来の活動内容は「あってもなくてもいいもの」程度に希薄になることもあり、「もうここは趣味の活動をする場ではない」と離れていく人間も出てくる。こうなるともうグダグダだ。すべてがそうなるとは言わないが、男女混合はそれだけでサークルそのものが消滅する要因を含んでいる。(*57)
 男女混合サークルでは多かれ少なかれ本音と建前でそれぞれが行動しているといっても過言ではないだろう。建前を並べ立てたところで、多くの人間は意識的にも無意識的にも交際相手候補を探している。多くは出会ってからすぐ、もしくは1〜2週間の交流の間に「相手が何点の男か(女か)」ということを値踏みしているということだ。(*58)言い換えれば「選択肢の中で一番交際したい相手は誰か」を判断し、水面下の争奪戦を繰り広げていると言える。あくまで「趣味の活動をすることがサークルに参加する目的」という建前を掲げている以上、本音は明かさない。ルールの存在しない仁義亡き戦いだ。サークル内に流れるのは「誰かが出し抜き、ちゃっかりシケ込んでいるかも知れない」という微妙な空気。大学のサークルなどでは1〜3年生の間に見えない戦争が発生しており、4年生になる頃にくっついた別れたなどの何らかの決着が着き、戦いが終結する。男女混合のサークルでは多かれ少なかれそのような力学が裏で働いている。

 次にそのサークルの内部を見てみよう。男女ともに同数で、すべてのカップルが1対1で結ばれていれば何も問題はない(*59)のだが、そんなことはまずあり得ない。大抵は一人の女性に複数の男性が好意を寄せるなど、サークル内の人間の中でその「好き」の矢印は複雑に交錯する。(*60)
 シンプルな構図として三角関係に着目してみよう。例として男Cさん、男Dさん、女Eさんがいるとする。男Cさんと女Eさんは恋人同士で交際している。そして男Cさんと男Dさん同士は親友だ。ここで神の悪戯が起こり、女EさんがDさんと浮気をしたら何が起こるだろうか。まず間違いなく男Cさんと男Dさんの間の友情は崩壊する。その後男Cさんと女Eさんが別れて、正式に女Eさんと男Dさんが交際を始めたとしても最初の友情は戻らない。
 これが男同士のケンカであれば、仲直りもあり得るだろう。時間が経てばケンカをしてた事自体忘れていることもある。だが、女性が絡むと話は別だ。彼女を親友に奪われた男はたとえ別れの発端が自分にあったとしても親友を許すことが出来ず、一生絶交状態となる。これが人間関係崩壊の基本形だ。

 サークルのような複雑に絡み合う人間関係の中では、これが四角関係にも五角関係にもなるだろう。サークル内でのカップルが別れれば、どちらかはサークルに来なくなるものだ。(*61)直接絶交となる繋がりもあれば、疎遠になることで自然に離れていく人もいる。サークルを動かす中心人物たちのゴタゴタとなれば、被害が広がる範囲も甚大だ。サークル内で中心的に活動していた女性が一人抜ければ、その女性の女友達も「彼女が参加しないなら私もいかなーい」となるだろうし、女性陣がごっそり抜ければ、彼女が出来ることを内心期待していた男たちも次第に来なくなることになる。(*62)最悪な話、一カ所の人間関係の綻びがサークル全体に飛び火して連鎖爆発→崩壊なんてケースもあるかもしれない。(*63)
 もちろんこれらのことは男女混合の集まりすべてに言えるわけではない。大学のようにサークルを構成する人間がみな独身かつ比較的若い世代であれば、恋愛が優先されやすく、かつ多角関係による人間関係のこじれが起きやすいというだけのことだ。サークルはあくまで趣味の活動であり、たとえ崩壊しても生活に困るということはない。引き換えに恋人ができるのであれば、若気の至りでドロドロに突入することも仕方のないことかもしれない。(*64)

 だがそうなってくると、ここで不思議なことに気が付く。そう、この「独身で若い世代の男女混合サークル」という条件は撮影コミュニティにも本来当てはまるはずなのだ。筆者も長らくこのコミュニティに顔を出しているが、カメラ小僧とコスプレイヤー・モデルの女の子が恋愛関係まで発展し、そして多角関係の泥沼化という状況にお目にかかったことがない。最後のChapterでは全体のまとめとして、撮影コミュニティにおける男女のすれ違いの展望を記しておこう。

(*56 理系の大学などでは最初から著しく男女比に偏りがある場合がある。まぁそうではなくとも、げんしけん(現代視覚文化研究会)のようなものを大学で立ち上げたとしたら、生粋オタの男性しか集まらないだろう。斑目くんと咲ちゃんのような甘酸っぱい青春は木尾士目の漫画の中だけだと知るべし。)
(*57 特に結成から間も無いサークルは、ちょっとしたことで簡単に崩壊する。活動が何年か継続している実績があり参加者や代表の入れ替わりなどの人材的新陳代謝があれば、次第に場としてのサークルは強固なものとなる。)
(*58 男性は無意識的に「誰が一番可愛いか」を判断してしまっている。あるいは男だけの集まりでは露骨な女性の品定めの話題になることもあろう。もちろんこれは逆に男性も同じように女性から品定めの目線で見られていることを意味している。だが男性はそこまでの想像力を持たない人間が多いのも事実。自分が女性から何点と断じられてるかを考えれば、多少身だしなみも整えるはずなんだけどね。いや、筆者も人のことはいえないのだけど。)
(*59 それでも浮気をする人間は出てくるから、安泰とは言えない。)
(*60 プレイステーションのガンパレードマーチとか、まさにそんな感じですよね。)
(*61 別れてからもサークルへ行くたびに、元彼・元彼女と毎回顔を合わせるなんてウンザリですよね。でも双方とも「なんで自分がサークル抜けなくちゃならないんだ」と一歩も譲らず憮然とした顔でサークルに来続けるパターンも。この場合は周囲がウンザリ。)
(*62 毎年4月の新入生の勧誘などでは、サークルにどれだけ女性が在籍しているかがセールスポイントとなる。サークルに女性がいないと、露骨に男性も女性も興味を示さない。)
(*63 サークルに紅一点の女性が一人だけ存在し、みな男性は彼女を囲むように活動をしている場合、コミュニケーションの繋がりは彼女を中心としたスターシステムとなっている。この場合男性同士の繋がりは非常に希薄だ。女性が誰かとカップルになったり、逆に愛憎劇の果てにサークルを抜けることがあれば、一瞬にしてすべての繋がりが切れ、サークルそのものが消滅する。)
(*64 学生のうちに愛憎劇での組織崩壊は経験しておいた方が、経済的な損害が少ないうちに免疫を付けられるので良いかも知れない。それはきっと社会に出てから役に立つ。特に職場で人間関係が崩壊すると生活にかかわる由々しき問題となる。)

■Chapter.7 結論 まぁ、みんな痛々しいままでいいんでね?


 なぜ、どのように男女の思いがすれ違っているのかは各Chapterに譲るとして、ここでは全体的に「大学にあるような男女混合サークル」と「撮影コミュニティ」は何が違うのかについて明確にしてみよう。既にほとんど結論が出ているので、簡潔にまとめてみたい。

 まずこの界隈にいる人間は、収入の格差が大き過ぎることが挙げられる。カメラ小僧の中には、学生もいれば年収が8桁に届く社会人も恐らくいるはずだ。(*65)大学内サークルであれば、この部分はアルバイト収入の有無はあれど本来一律条件だ。趣味以外の話題や金銭感覚、生活観も意識を共有することができるだろう。だが社会人のフィールドではそこに経済力という新たなパラメータが加わることとなる。桁が違う人同士は本来住む世界が違うのだ。オタクの世界はみんな口を揃えて「初音ミクはスカートが短いからコスプレ大変だよね〜(*66)」とオタクの共通言語で語り合うことで意気投合が可能となっているともいえる。
 次に被写体となる女性は魅力的過ぎるということが挙げられるだろう。女性側は声を掛けられまくることで比較的恋愛スキルに長けており、恋愛スキルの低過ぎる男性とは何のフラグも立たない。これは別に女性が男性をバカにしている訳ではなく、男性側の圧倒的な恋愛経験不足によって、女性の気持ちを汲み取れないでいることが原因だ。多くの場合、スキルの低い男性は女性を美しい被写体としてしか見ていない。「カメラ小僧」という役割を離れて男性として接することが出来ない以上、女性もそれに合わせて「コスプレイヤー」「モデル」という立場で接し続けることとなる。
 男性同士、女性同士、あるいは男女間において、コミュニケーションスキル、交友関係、知性、経済力、年齢などのステータスがある程度同じでなければ恋愛マーケットは成立しない。恋敵同士の女性への気配り合戦も男女間の駆け引きも起こらない。常に相手が圧倒的に強過ぎるか弱過ぎるかでは恋愛に発展しにくいのだ。よって同じスキルレベルでのマッチングも起こらず、恋愛には発展しない。

 また違うグレード同士でカップルが成立したとしても、残念ながら長続きしないことが多い。例え話として彼女がアイドル級のコスプレイヤー、彼氏は普通のカメラ小僧だったとしよう。彼女には追っかけのカメラ小僧もたくさんおり、撮影会やコスプレイベントに参加するたびに撮影で囲まれるような状態だ。これだけなら彼氏も美人の彼女がいることに鼻高々になるだけで済むだろう。しかし彼女はイベントコンパニオンなどの仕事もするようになり、有名コスプレイヤーとしてマスメディアに出るようになり、多くのファンから高価なプレゼントを貰ったり、「○○株式会社代表取締役」みたいな名刺をたくさん頂戴するようになったりしてくると話は変わってくる。彼氏がクリスマスなどで彼女にプレゼントしたものよりも、彼女本人が毎回ファンから貰ってくる贈り物の方が高価だったり、彼氏がデートで連れて行くお店よりも、コンパニオンのお仕事の打ち上げで取引先の社長が連れて行ってくれるお店の方が豪華でお洒落だったりすると、たとえ彼女が彼氏のことを変わらず愛し続けていたとしても、彼氏はプライドをことごとく傷付けられ、自分の彼氏としての存在意義を疑い始めていく。この場合は彼氏が耐えられなくなって「もう無理です…」と自発的に別れを切り出すだろう。(*67)全部がこうだとは言わないが、格差は格差として現実を突きつけてくる。いくら「恋は盲目」でもそれは隠しきれない。

 結局のところ、双方の男の「撮りたい」と女の「撮って欲しい」「撮られてもいい」のニーズがたまたまマッチングして撮影コミュニティが形成されたに過ぎず、ほかの一般的なサークルに見られるような恋愛市場として機能するような環境とはなっていない。「撮りたい」「撮って欲しい」「撮られてもいい」という本来なら建前で片付けられる要素が主目的となってみな集まっている。よって本音のなかで「ここで恋人を作りたい」という想いを持つ人間は不幸になる運命にある。
 だが逆にこれは、恋愛や多角関係などに惑わされることなく撮影やコスプレの趣味の活動に集中出来る優れたシステムと言うこともできる。カップルの破局なども起こらないので、コミュニティや交友関係全体がガタガタに崩壊するようなこともなく、長期的にサークル活動を楽しむこともできるだろう。現に10年以上このコミュニティの中で活動をしているカメラ小僧はたくさんいる。コスプレイヤーや撮影会モデルもカメラ小僧ほどとまでとはいかないが、比較的息の長い現役の女の子も存在している。卒業のない学校の終わらない放課後とでも言うべきか。部活動はずっと続けても良いし、好きなときに辞めても良い。
 いろいろな見方はあるだろうが、筆者としては「だからこうするべきだ」という意見をするつもりはない。まぁ、自分が地雷を踏まなければいいやくらいの気持ちであり、たまに変な人が出てきて勝手に自爆してるのを打ち上げの席で酒の肴にするくらいだ。まぁなんというか、別にみんな痛々しいままでいいんでね?(*68)

(*65 直接年収を聞くような無粋な真似はしないが、カメラやレンズをポンポン衝動買いするカメラ小僧が結構な割合で存在する。傍から見ていると10万円が1万円の感覚ではないかと思えるほどだ。学生がXbox360とSteins;Gateを「えーい買ってしまえ!」と衝動買いするのと同じような感覚で、価格が10倍の新型カメラを買っているカメラ小僧がいる。まぁ、痛車を作るためにわざわざ2台目の車を買う人がいる時代だ。リッチなオタクも新しい世代として台頭してきたのだろう。)
(*66 初音ミクのパンツはシマシマが似合うとか言っている御仁がいるが、パンツの柄が見えてしまってはイカンのです。ミクの恥じらいの表情、トップスの光沢の質感、スカートのシルエット、太ももの艶めかしいラインから「見えないパンツの柄はきっとシマシマに違いない」と想起させなければならんのです。エロい人にはそれがわからんのですよ。)
(*67 生々しい話だからといって別に筆者の話でも知人の話でもなく、あちこちの断片情報を切り貼りしただけのただの作り話。)
(*68 締めの言葉がそんなんでいいんかい。)

■おわりに

 いかがだったでしょうか?前回の本では読者から感想を頂いたもののなかに「裏話というタイトルのわりには、裏話の内容ではないのでは?」という意見がありました。読み返してみてまったく指摘の通りだと思い、今回は失敗談や痛々しいエピソードを中心に構成してみました。評論という性格上エピソードの後に解説や分析も織り交ぜてありますが、前回よりも幾分読みやすくなったのではないかなと思います。内容が痛過ぎて読みにくくなっていればそれはそれで本望なのですが(ぉ。

 ここは本来総括や謝辞を載せるページなのですが、ちょっとだけ寄り道を。今回この本を書くに当たっていろいろ行き詰ったところはあるのですが、一番行き詰ったのはChapter.5の「役割演技の枠組みを壊す危険な誘い」の男女の会話シーン。ここはもともと男女のセリフが逆でした。

終業式に男友達だけで遊びに行ったカラオケボックス。
トイレに立ったら同級生の女の子が廊下でつまらなそうに一人で休んでいる。
女「あれ?来てたの?」
男「うん、クラスの友達と。でもカラオケって苦手でさ…」
女「そっか、実は私もニガテ〜(苦笑。ここで休んでた」
男「あははっ、じゃ同じだな」
女「……」
男「……」
女「──じゃ、二人でこっそり抜け出しちゃおっか?」
男「うん、今俺も同じこと考えてた」

 これでは女性から提案してますよね。Chapter.5の語っている文脈では逆です。「危険な誘い」は男性がしなければなりません。そこで男女のセリフを逆転させてみたのですが、そうなると最後の女性のセリフが「うん、今私も同じこと考えてた」では、男性からの不意の誘いに対して少し乗り気過ぎて不自然となります。
 とりあえず女性のセリフを差し替えることになったのですが、ここで行き詰まりました。見事なまでに女性の感情をまったくトレースできず「(乗り気だとして)女性だったらどう答えるか?」がさっぱりわからなかったのです(大汗。
 編集会議のときにその悩みを打ち明けたら「そこはどう考えても

女「えっ、いいの?」

しかありえないだろ。その一言には

「友達より私を優先してくれるの?」
「私よりいい女はたくさんいるのに私なんかでいいの?」
「男と女という関係性になるけどいいの?」

が全部含まれているんだよ」というツッコミが入りました。
 とはいっても、解説の文章で「えっ、いいの?」の一言だけではその内面のメッセージが非常にわかりにくいものとなります。女性は簡単にわかるのかもしれませんが。そこであえて説明的に

女「えっ、だって友達は?」

としました。彼女は彼と一緒にフケる気満々なのですが、一応戸惑いのフリをするワンクッションをいれたのですね。で、その流れで「そこは男として、どう答えるべきかわかるかい?」と質問を振られたのですが、実のところそこでも考え込んでしまいました。セリフは色々思い付くのですが、「そこで含まなければならないメッセージとは何か?」がわからなかったのです。
 まともに受け答えて「じゃあ、友達に断ってくるよ」では0点です。彼女は言葉ではそう言いつつも「友達をどうするか」は聞いていません。ニュアンス的には「えっ、いいの?」とまったく同じです。ということは上記の3つの質問に答えないといけないわけですね。要するに『あなたが』『一番優先すべき』『特別な』『女性だ』が全部メッセージに含まれることが必須条件です。結局のところ本文にあるセリフが模範解答なのですが、これも解説の文章なのであえて説明的にしてあります。実際にこう切り替えしたら少しキザ過ぎるでしょう。言葉の裏にある感情には、やはり言葉ではなく感情が直接伝わるように

男「ん?」←優しく相手を見つめ、そんなの気にしなくていいじゃんという顔

というくらいが正解に近いのかもしれません。──と、編集会議ではレクチャーされました(汗。
 筆者の「自分が女性だったらどう応えるか?」という思考感覚では、

男「──じゃ、二人でこっそり抜け出そうぜ?」
女「…ほう、(女を誘う)誘い方としてはまあまあだな」

という超「上から目線」の女性しか思い付きません(汗。最終的には「そんな調子だから君はモテないんだよ。きっと女性を怒らせるだろうな〜」とも言われてしまう始末…orz
 今回はこのようなやり取りが何度もありました。筆者もまた本のネタの材料になるような黒歴史は過去いろいろあったわけで、このテーマを書き上げることで自分の男女観・恋愛観が大分偏っていることを自覚出来たような気がします。

 今回2回目の当選を迎えたことでサークル活動も一周年を迎えることが出来ました。本を頒布する立場になって、表現のこと、編集のこと、デザインのこと、仲間を集めて活動することなど多くのことを学びました。今後も新しいことも取り入れながら、可能な限り継続していきたいと思います。
 さて、今回の本についての総括なのですが「まず締切は守りましょう。また締切は破られるために存在するので、破られたときに回復出来る体制を整えましょう。」という事を学んだというところでしょうか(ぉ。危機管理は英訳すると「リスクマネジメント」と「クライシスマネジメント」に分かれます。前者は「ヤバくならないようにすること」、後者は「ヤバくなったときに出来るだけ被害を最小限にすること」を意味します。魔法使いはベホマの呪文を覚えているのに、ここぞというタイミングで「しかしMPがたりない!」みたいな。一か八か捨て身の攻撃を仕掛けて戦闘に勝つしかないですよね。この文章が本に載った形で読まれているのであれば、なんとかなっているのでしょうけど。いやはや。

 最後にご協力頂いた仲間の方々へお礼の言葉を捧げます。
 表紙や挿絵を描いて頂いた高崎かりん様、今回も快諾して頂きありがとうございました。メールを出すと数時間後にはラフ画像が返ってくるなどテンポよくやり取りでき、とても助かりました。
 小躍りする棒人間は新婚のどっこいしょ様に描いて頂きました。ありがとうございました。「君ん家で描くよ」というので自室を掃除して準備していたら奥さんと一緒だったので、急遽別室を用意したり(汗。いやいや、自分の部屋は夫婦で入れるような部屋じゃないから。引くから(何。
 DTPデザインは最近Design Premium CS4を買ったなぎさわ神乃様に。時間があったはずなのに12月中旬になってからトラブル多発でご迷惑をお掛けしました。落ち着いて対応して頂き感謝の言葉もありません。またよろしくお願いします。次回はもっとすんなり印刷出来ると良いなぁ…(遠い目。
 大晦日の売り子は庶務部長様(予定)にお願いしました。前回yokke13が会場に来た頃には既に完売していて「売り子」ではなく、完売を謝罪する「謝り子」をやってもらいましたが(汗。今回は朝からよろしくお願いします。
 最後に監修役として、のの様には原稿の査読や印刷指導で大変お世話になりました。…と、同時にMPの足りなかった魔法使いでもあるのですが(汗。お互い締切に追われるなか、客観的な視点で自分の「書きたい」の暴走を社会的な方向に軌道修正してもらいました。感謝の言葉とともに「アハハじゃないよアハハじゃ!(出川哲朗の声で)」の言葉を贈りますね(ぉ。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
 そして何より、会場内で本書に手を取って下さった全ての方々に謝意を表し、今回はここで筆を置かせて頂きます。本当にありがとうございました。次回は夏コミでお会いしましょう。受かるといいなぁ。

2009年12月某日 職場のiMacにて
よろず評論サークル「みちみち」代表 みちろう

■奥付

【誌名】カメラ小僧の裏話2 撮影コミュニティにおける男女関係
【発行年月日】2009年12月31日 コミックマーケット77 初版
       2010年8月15日 コミックマーケット78 第二版
【構成・執筆】みちろう
【イラスト】高崎かりん(表紙,本文),どっこいしょ(棒人間)
【DTPデザイン】なぎさわ神乃
【編集・印刷】のの
【発行サークル】みちみち
【発行責任者】みちろう
【ウェブサイト】http://miti2.jp
【連絡先】circle@miti2.jp

※本書内容の無断転載は固くお断りします。
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